2023年SEO業界の振り返りと2024年の予想

2023年はSEO業界にとって大きな変化の年となりました。特に生成系AIの登場とコアアルゴリズムアップデートの連発など、業界に大きく影響を与える出来事があり、SEOの在り方が問い直されるきっかけとなりました。

それでは、2023年を振り返り、2024年の予想を述べたいと思います。

2023年の振り返り

今年はいろんな事がありましたが、特にSEO業界に影響を与えた3つの出来事について取り上げます。

1. 生成系AIの登場とGoogleの焦り

今年最大の出来事は、ChatGPTなどの生成系AIの登場です。約1年前の2022年11月に革新的なAIツール「ChatGPT」がリリースされ、瞬く間に世界中に広がりました。

「ChatGPT」の検索は一気に増え、世界中で多くの人が利用し始めました。(下図はGoogleトレンドで「ChatGPT」の検索需要を表したグラフ)

IT業界のみならず、経済界もAIに一気に注目し、MicrosoftやNvidiaなどAI銘柄と呼ばれる企業の株価が一気に上がった1年でもありました。

この1年で、IT業界を始め、証券、経済、Webマーケティング、人材業界など多岐にわたる分野が生成系AIの影響を受けました。それくらい2023年は、「生成系AI」がイノベーションとして突如登場し、あらゆる業界を変える元年だったように思えます。

また、GoogleもChatGPTの影響を受けた主要な企業の一つです。

2023年初頭には、Googleの親会社アルファベットのピチャイCEOがChatGPTの登場と成長に対して緊急事態(コードレッド)を宣言し、AI開発に取り組むよう社内指示したニュースも出ました。

また、ビッグテック企業のマイクロソフトはOpenAIとの連携を強化し、検索エンジンBingにChatGPTを搭載してAIによる検索結果を提供し、他社に先駆けました。

検索エンジン市場で圧倒的なシェアを持つGoogleにとって、ほぼノーマークだったBingが突如革新的な検索エンジンを世に出し始めた事は、Googleとっても危機を感じるには十分な出来事だったと言えます。

過去、Googleの祖業である「検索エンジンサービス」に参入する企業は複数ありましたが、その多くが「検索サービスの再発明」に留まるものが多かったように思えます。

例えば、プライバシー重視を謳ったDuckDuckGoも、ユーザープライバシーの保護に力を入れているものの、検索としてのシステムはGoogleと同じく、10個のリンクを表示し、ユーザーが上からクリックを判断する形をとっていました。

しかし、新生Bingがリリースした検索エンジンはチャット形式でAIと応対しながら自分の欲している情報を探していく検索体験を提供しており、今までの検索エンジンとは一線を画している事がわかります。

正しく「検索体験の新提案」であり、今現在の検索の王者であるGoogleにも衝撃を与え、同社の焦りにも繋がったのではないかと思います。

ChatGPTの登場後、Googleは自社の生成AI「Bard」を急遽発表。既存の検索エンジンにAIを組み込むなどして対抗してきましたが、Googleが後発となっており、今後の動向が注目されます。

そして、この流れはSEO業界にも影響がでています。

今年の8月には、「SGE」と呼ばれる生成系AIによる回答生成枠を日本語の検索結果にもテストリリースしました。

もし、このSGEが全ユーザーに表示され、一般的に利用されるようになった際には、通常の自然検索枠で得ていた集客数に大きな影響を与える可能性もあります。

このSGEの登場によって、SEOの主な目的の一つである「自然検索枠1位の獲得」という考え方にも大きな影響を及ぼすでしょう。

2. Googleのアルゴリズムの迷走

Googleは今年、異例のペースでアルゴリズムの変更を繰り返しました。特に下期には次々とアップデートが実施され、SEO業界を揺さぶりました。

特に注目すべき点は、下半期に立て続けにリリースされたアップデートです。

通常であれば、約3~5ヶ月周期でリリースされるアルゴリズムアップデートですが、2023年8月から連発して大きなアップデートが行われました。

私は10年近くSEOに携わっていますが、これほどの大型アップデートを短期間の内に何度もリリースするところを見たことがありません。2023年はそれほど珍しく、高頻度でアップデートが続きました。

3月のコアアルゴリズムアップデートによる変更が、10月に行われたアップデートで部分的に撤回された傾向が、アクセス数の急減が見られたサイトから確認できます。

Googleは2022年の後半から再びコンテンツ品質の評価に比重を置き始めましたが、2023年10月と11月に再度信頼性や権威性に比重を置いたアルゴリズムに戻しており、ドメイン評価が高いサイトがより優遇された傾向が見られました。

このアルゴリズム方針の変更により、10月と11月のコアアルゴリズムアップデートで急落したサイトが続出しました。

下記グラフはとあるコンテンツサイトの自然検索流入を示したものです。いままで安定的に推移していた流入数が、10月と11月のコアアルゴリズムアップデートで2回に渡り急落しています。

このサイトの同様に、10月と11月のコアアルゴリズムアップデートによって、コンテンツを作り込んだサイトでさえ突如急落する傾向が見られました。

コアアルゴリズムアップデートに関する詳細は「2023年11月のコアアルゴリズムアップデートを分析」と「11月のコアアップデート、どのサイトが動いた?」を御覧ください。

ヘルプフルコンテンツアップデート

また、ヘルプフルコンテンツアップデートも2023年9月にリリースされました。

ヘルプフルコンテンツアップデートとは、検索エンジン対策を目的として作られた読者の期待に応えていないコンテンツに順位下落を加えるアルゴリズムです。

日本語でも適用対象となり、今回のヘルプフルコンテンツアップデートによって一部のサイトが大きく順位が動きました。

下落したサイトの主力ページコンテンツを見ると、とにかく検索キーワードを盛り込んだものばかりでした。

たとえば、下記グラフはとあるクリニック(病院)の公式サイトのアクセス推移を表したものです。8月初旬から下落し始め、8月のコアアルゴリズムアップデート、9月のヘルプフルコンテンツアップデートの3段階で急落しました。

このサイトは集客向けコンテンツとして、サジェストワードの検索ニーズをすべて網羅した見出し構成となっており、非常に長く文字量が多いコンテンツばかりを掲載していました。

一昔前流行った「検索ニーズの網羅性」を意識した記事と同じ型であり、とにかく検索キーワードをめいいっぱいに網羅するタイプのコンテンツページでした。

これら下落サイトを見ると、ヘルプフルコンテンツアップデートの目的の一つである「検索エンジンの為だけに作られたコンテンツの評価を下げる」は正しく機能しているものと見受けました。

詳しくは「ヘルプフルコンテンツアップデートの影響分析<2023年9月>」を御覧ください。

3. コンテンツの価値の変化

これまでのSEO業界では、検索者の意図に合った「情報の網羅性」が評価されるコンテンツとされてきました。

しかし、ChatGPTの登場により、単純に情報を集約するだけのコンテンツの価値は低下しつつあります。事実、8月にリリースされたSGEによって、自然検索に表示されたページを見ずとも、AI回答で満足するキーワードも存在します。

これらAIの登場によって、単に情報を集約し、キュレーションしただけのページの役割はAIと取って代われれるのも時間の問題かもしれません。

そうなってくると、今まで評価されると言われてきた「情報を網羅したコンテンツページ」はAI(SGE)に代替され、アクセス数(トラフィック)を得られないページになってしまうのかもしれません。

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以上、2023年のSEO業界は、AIによって大きな変革期を迎えた元年とも言えます。

では次に、2024年のSEO業界はどうなるのか、私なりの予想をしてみました。(あくまでも私の個人的な予想ですので、いち参考情報として捉えて頂けると幸いです)

2024年のSEO業界予想

1. ページ評価の変化(独自性の重要性高まる)

生成AIの実用化がさらに進むと、Webページの評価軸そのものが変わっていくかもしれません。

一つの評価軸として、Googleは「このページを見せる価値があるか」という評価観点が考えます。

膨大なインデックスから回答となるページを即座に探し、そのページからAIによって回答を生成できるGoogleにとって、今までのように10個のリンクを表示する必要性は下がるでしょう。

また、Webサイトに掲載されている既知の情報を探しているユーザーにとって、今までの検索結果のようにWebページへのリンクを表示するより、それらの情報を要約し、回答として表示することで、Googleは期待される役割を果たせます。

そうなると、既知の情報を単にまとめたページはその役割をAIに取って代わられることになり、Googleもあえてそのようなページをユーザーに見せる必要は無くなります。

さらに、情報の発信者を問わないようなクエリはよりSGEなどのAIによって代替されると予想されます。たとえば、辞書系クエリや既知の知識に関する検索など、一般的な回答が存在する「Know系クエリ」がこれに該当します。このようなクエリでアクセスを集めていたWebページは、アクセス数が一層減少する可能性が考えられます。

情報発信者は「独自性」で生き残る

昨今、SEO業界では「独自性が大事」という話題を見かけます。

この「独自性」とは、競合Webサイトよりも優れるための考え方以上に、AIでは出せない経験者だけが知りうる情報が独自性であり、AIでは生成できない深い洞察のある回答(コンテンツ)だと、私はそう考えています。

「検索意図の回答」という観点で、GPTと人の強み/弱みを書き出してみました。

ChatGPTやBardは世のデータから確からしい平均的回答を即座に出力できます。これは人が行うより圧倒的に低コストに生成でき、既知の情報ほどその回答精度も高いと言えます。ですから、このような領域において人がコンテンツを書き続けるのは、あまりにもディスアドバンテージが大きい訳です。

逆に、人の強みとして、著者が自ら経験した事をベースに具体的に事柄を書く事ができます。

自ら感じた事や自分に起こった事を鮮明に書くことができ、同じ悩みをもった検索ユーザーにとって有益性が高い回答と言えるでしょう。

例えば、ダイエットで体重を落としたい検索ユーザーがいたとします。

ChatGPTであれば「運動と食事管理が大事です」と、平均的な解決案を即座に返答するでしょう。

しかし、一般的な情報ほど多くのユーザーがすでに知っており、真の検索意図に応えているとは言えません。

この場合のユーザーの検索意図として「つらいダイエットをどうやって乗り越え、痩せるか」であり、平均的な解決案である「食事管理する」ではありません。

これとは対象に、つらいダイエットを通して痩せた経験がある人は、具体的に経験談から語ることができます。食欲の抑え方や、どうしても食べたくなった時にどう乗り越えたのか、自らの経験を通して具体的かつ鮮明に伝えることができます。

具体的かつ鮮明な体験談ほど説得力に勝るものはありません。

同じ悩みを持っていた経験者だからこそ、今悩みを持っている検索ユーザーに対して有益な解決案を、具体的に提案できるのです。これは平均的な回答を出すChatGPTには出来ない事でもあります。

正しくこの「経験」が、E-E-A-Tの「Experience(経験)」であり、Googleにとってあえてユーザーに見せるほどの有益性が高い情報とも言えるのかもしれません。

2.より一層「信頼性」を重視

昨今のGoogleアルゴリズムの方針を見ていると、「何が書いてあるか」より「誰が発信しているか」を重視している傾向にあります。

特に10月のコアアルゴリズムアップデートでは自社で事業を営んでいる事業者サイトが上昇し、逆に事業者ではないサイト、とりわけ外部サイトへの送客を目的としたアフィリエイトサイトは顕著に下落しました。

これら変動からも、2023年はより発信者、特にドメイン評価を最重視する傾向が見られました。これも「検索の信頼性」を担保する為の動きであり、これが昨今の「ドメイン評価重視の検索順位アルゴリズム」に繋がっていると考えます。

事実、一定の評価を獲得しているドメインであるほど、そのドメイン下に掲載されるページの検索順位も短期的に上昇する動きが2023年下半期に見られました。

では、このドメイン評価はどのように計算されているのか。その一つに、「被リンク」と言われるリンクシグナルからドメイン評価が計算されていると考えられます。

いわゆるPageRankに代表されるアルゴリズムによってリンクグラフによるドメイン評価の計算が行われており、昨今はこの評価値が検索順位に与える影響度も大きくなっているように感じます。

また、ドメイン評価を重視するアルゴリズムを逆手に利用したのがサブディレクトリ賃借型サイトであり、2023年は「寄生サイト」として国内外問わず問題視されました。

ドメイン評価重視のアルゴリズムはいくつかの点で課題はあるものの、今現在の保有データと技術力で最も確からしい検索結果が作れるのがドメイン評価比重を置いた順位決定ロジックと、Googleは判断したのかもしれません。

そして、2024年も発信者の「信頼性」をより重視する方向に進んでいくと考えられます。

この方針にともなって、リンクグラフによるドメイン評価がより一層重要視され、リンクの獲得も重要なSEO戦術の一つになることでしょう。

リンクされる仕組みづくり

これらリンクを獲得する施策は「リンクビルディング」や「リンクアーニング」と呼ばれ、主にプッシュ型の営業活動が中心でした。

しかし、昨今では「リンクをしてもらうように働きかける」といったプッシュ型の施策より、「リンクがされる便益づくり」といったプル型の施策に注目が移っているように見受けられます。

例えば、Brain Dean氏の「毎月1,347のバックリンクを獲得する方法」によると、ライターに焦点を当て、彼らが記事を執筆する際に必要となる情報を予めまとめる事で、多数の被リンクを獲得しているようです。

例えば、Webページ「何種類の暗号通貨が存在するのか?」では、今現在存在するあらゆる暗号通貨をまとめており、各暗号通貨の発行日や時価総額、価格などを一覧で記述しています。

すると、この暗号通貨をまとめた記事ページに対して、他サイトの暗号通貨に関するページから「参照元」としてリンクされているのです。

このように、ライターが記事を書く際に必要となるデータを一つにまとめる事で、ライターが書いた記事から参照元としてリンクを獲得できている訳です。

この施策を通して、Brain Dean氏が運営しているサイトは、数多くの被リンクを継続的に獲得。

以上のように、「被リンクする事ができる人(=ライターやWebサイトオーナー)」に焦点を当て、彼らが欲している情報や便益を提供する事で、自然に被リンクが集まる仕組みを作っていると言えます。

今後は、このようなリンクがされるキッカケづくりも、重要なSEO施策のひとつになってくるのかもしれません。

3. 検索依存からの脱却

これからは、検索以外の集客手段の模索も重要になるでしょう。

もちろん、検索経由のアクセス数は今も尚重要であるものの、一つのプラットフォームに依存し続けるのもリスクといえます。

特に昨今では、度々のアルゴリズム変更によるアクセス数の乱高下がありましたし、SGEの本格導入による自然検索枠のCTR低下なども予想されます。

検索エンジンと共存していく道は模索しつつ、新たな集客経路を発掘する事も重要な戦略と言えるでしょう。

コンテンツの再活用による集客数の増加

Webサイトにコンテンツを掲載した場合、主な集客獲得元は自然検索(SEO)になります。しかし、このコンテンツを他メディアに転用する事で、そのコンテンツが持つ潜在的集客力を増加させる事ができます。

例えば、ブログ向けに書いた記事をYouTubeの動画の台本として活用したり、YouTubeの動画をAIで書き起こす事でブログ記事として再活用する事ができます。

SEO研究チャンネルも動画コンテンツをAIで文字起こしし、ブログ記事に変換しています。その変換した記事をメールマガジンやXなどのSNSに再配信する事で、YouTubeでは接触できなかった新たな層にコンテンツを届けることができています。

せっかく作ったコンテンツを1つの集客源に留めるのではなく、変換による再活用することで、コンテンツを作り直すことなく新たな集客を得る事ができます。

このように、Webサイトにあるコンテンツをそのままに留めるのではなく、他の媒体にも配信し、1コンテンツの集客価値を最大化する事で、検索依存からの脱却を図ることも重要な施策の一つといえるでしょう。

まとめ

このように、2023年のSEO業界はAIの登場により大きく変化しています。

2024年はこのAI化に伴う変化にどう対応していくかが焦点となりそうです。

今後はより一層時代の変化に合わせ、Webサイトオーナーとしてのポジションを確立していく事が重要になることでしょう。

今後もこのブログでは最新のSEO事情について発信していきます。ぜひご期待ください。

※この文章は、YouTube動画をAIで書き起こし、要約したものです。