コンテンツのできは、本文以上にシナリオの設計書である「記事構成案」で決まります。言い換えれば、ユーザーニーズを十分に満たす記事構成案が作成できれば、検索意図を満たすことができ、結果的にSEOでの上位順位の獲得も見込めます。
そこで今回は、記事構成案の重要性・どのように作ればSEO評価があがるのか・作成手順などを解説したうえで、タイプ別のテンプレートをご紹介します。
記事構成案(ワイヤーフレーム)とは?
記事構成案とは、検索ユーザーのニーズに対してどのような情報を・どの順番で・どう表現するかを定める「設計図」です。企画書におけるワイヤーフレーム、マンガにおける「プロット」と言った方がイメージしやすいかもしれません。
ライティングページは、構成案を作成してから本文の執筆作業にとりかかるのが正しい手順です。記事構成案を作成する段階で「不足している情報はないか?」「イラストを使った方がわかりやすいのでは?」と熟考できる分、ユーザーにとって価値の高い記事に仕上がります。
なぜ記事構成案は重要なのか?
端的に申し上げると、コンテンツのできは本文以上に構成案で決まります。その理由は、ライティング作業を始める前に記事構成案を作成しておくことで、以下のようなメリットが得られるからです。
- 検索結果で上位表示が狙える
- テーマと内容のズレを防げる
- 効率的に情報収集できる
- スムーズにライティングできる
検索の上位順位を見込める
Googleは、ユーザーにとって役に立つ(検索意図を満たす)記事を最も高く評価し、検索ランキングの上位に表示します。特筆すべきは、検索エンジンが「ユーザーにとっての価値の高さ」を評価する際、記事構成案を判断材料にしているという点です。
以下の通り、記事構成案の各要素には優先順位があり、いかに記事全体の流れ(ストーリー)が検索意図に合わせて構成されているかも重視されます。
- タイトル(h1)
- 大見出し(h2)
- 中見出し(h3)
- 小見出し(h4)
- 本文
つまり、対象キーワードが適宜タイトルや見出しに含まれており、なおかつページ全体が流れるようにまとまっている記事構成案が作成できれば、自ずとSEO評価の高いコンテンツに仕上がると考えています。
検索者のニーズと執筆内容のズレを防げる
初心者にありがちなのが、いきなり本文から書き始めた結果、想定していたのとはまったく異なる記事が完成してしまった、という失敗例です。準備をせずに本文を書き始めてしまうと、途中で「あれも書きたい」「この情報も必要かも」といったアイデアが浮かび、記事の方向性がブレやすくなってしまいます。
その点、あらかじめ記事構成案を作成しておけば、無理せずテーマと内容を一致させることができるのです。記事構成案を作成する段階で、どの見出しに何を書くか想定しておきましょう。
効率的に情報収集できる
情報収集が効率的に行えるのも、あらかじめ記事構成案を作成しておくべき理由です。見出しが決まっていれば、必要な情報だけをピンポイントでリサーチできます。
見出し毎に精度の高い情報収集を行うことで、より的確かつ多くのユーザーニーズに応えられるのです。
スムーズにライティングできる
記事構成案を作成しておくことで、「どのような情報を収集すべきか」「何を書けば良いのか」が明確になり、ライティング作業がスムーズに進みます。見出し毎の目的とコンテンツ自体のゴールが決まっているため、執筆中に方向性が定まらず迷う心配もありません。
SEOに強い記事構成案とは?
検索結果で上位表示されている記事の構成案は、以下3つの条件を満たしています。
▼SEOに強い記事構成案の共通点
- ユーザーニーズを深掘りしている
- 専門性と網羅性の両方を満たしている
- この記事でしか得られないオリジナル要素が入っている
ユーザーニーズを深掘りしている
Googleの検索結果で上位表示を目指すには、ユーザーが求めている「答え」を提供しなければなりません。なぜなら、Googleはユーザーニーズに対するアンサー度が高いコンテンツほど、より高く評価するアルゴリズムを採用しているからです。
ただし、たとえ検索窓に入力するキーワードが同じでも、ユーザー全員の検索意図が同じとは限りません。そこで重要になるのが、「なぜそのキーワードで検索したのか?」という視点で、ユーザーニーズを深掘りする作業です。
記事構成案を作成する時点でユーザーニーズを深掘りしておくことで、ユーザー満足度の高い記事と判断されて、SEO評価もアップします。
専門性と網羅性の両方を満たしている
目次や見出しを見ただけで、ユーザーに「専門性と網羅性を満たしている」と一目で伝わる記事構成案は、SEO的に高く評価されます。なぜなら、多くのユーザーは最初に目次や見出しに目を通し、「信用できる答えが載っていそうな記事」を選んでから、あらためて熟読しているからです。
記事構成案でコンテンツの全体像を把握したユーザーが、「この記事は読む価値がない」と判断した場合は、当然ながらSEO評価もあがりません。
オリジナル要素が入っている
競合サイトの調査は、記事構成案の作成プロセスに欠かせない作業です。だからと言って、競合サイトの真似をするだけでは、むしろSEO評価は得にくいと考えます。
検索結果で上位表示を狙うには、必ず「このページや著者からしか得られない独自情報」を構成案に盛り込むことが望ましいでしょう。
見出しタイトルに手を加えるだけでなく、自分なりの見解や体験を加える事で、そのページにしかない有益性ある情報を検索者に提供できるでしょう。
SEOに強い「見出し」とは?
この章では、SEO効果を見越した「見出し」の作り方についてご紹介します。
▼SEOに強い「見出し」の特徴
- アンサー度が高い
- 1つの見出しで伝えることは1つ
- 見出しの前半にキーワードが入っている
アンサー度が高い
アンサー度が高い見出しとは、一目で内容が伝わる見出しです。検索ユーザーは、記事のタイトルでアクセスすべきか判断し、見出しで本文を読むべきかを判断します。
具体的には、シンプルで文字数が少なく、1フレーズで表現されている見出しが理想的です。読んだ後にユーザーの頭にクエスチョンが浮かぶような複雑な見出しは、離脱の要因になります。
1つの見出しで伝えることは1つ
質問と回答は1セットが基本です。1つの見出しにアレもコレもと詰め込んでしまうと、焦点が定まりません。例えて言うなら、同時に2つの質問をするようなモノです。
場合によっては1つの質問に対して2通りの回答が存在することもありますが、見出しとして掲げるテーマは1つに絞るのが鉄則。仮に目的と方法について書きたいなら、「○○の目的」と「○○の方法」といった具体に、見出しを2つに分けましょう。
見出しに検索ニーズが入っている
傾向として、見出しにもキーワードを入れる方が、結果的に順位影響もあると考えます。見出しの内容もGoogleは重視しており、キーワードを含めることで、そのキーワードに関する情報を記載している記事だと判断しやすくなると見ています。
ただし、キーワードの含有だけに目が向き、読者を無視した見出しになるくらいであれば、無理にキーワードを入れる必要はありません。不自然にならない範囲で、見出しの前半にキーワードを含めるくらいに留めるのが望ましいでしょう。
コンテンツ全体の作成手順
コンテンツ全体の作成手順は、以下の通りです。
- 記事構成案
- 本文
- まとめの本文
- リード文
- ディスクリプション
- タイトル
上記の通り、記事構成案の作成はコンテンツ作りのファーストステップなのです。
記事構成案の作成手順
SEOに強い記事構成案を効率的に作成するには、以下の9ステップに沿って進めるのがセオリーです。
▼記事構成案の作成手順
- メインキーワードの選定
- 関連キーワードの洗い出し
- ペルソナの設定
- ユーザーの検索意図を探る
- 読み終わった後のゴールを設定する
- 検索上位コンテンツの調査
- 記事に必要な要素を書き出す
- 言い換え語を探す(潜在層の獲得)
- 見出し(h2/h3)の作成
①メインキーワードの選定
記事構成案を作成する際は、最初にメインキーワードを選定します。キーワード分析ツールを使って検索ボリューム、競合の多さ、難易度などを調べたうえで選びましょう。
キーワード分析ツールとしてはGoogleキーワードプランナーやGoogleサーチコンソールなどがメジャーですが、複数の項目をまとめて調査したい場合はGetKeywordがおすすめです。
検索ボリュームはキーワード選定に活用できる?調べ方から活用方法、調査ツールを紹介!②関連キーワードの洗い出し
2番目のステップは、関連キーワードの洗い出しです。メインキーワードと一緒に検索されている関連キーワードは、ユーザーニーズの宝庫。
関連キーワードを見出し・本文に含めることで、ユーザーが求めている答えを的確に提供できる、質の高い記事が完成します。
③ペルソナの設定
続いて、誰がメインキーワードや関連キーワードを検索するのか、ペルソナを設定します。ペルソナは性別や世代だけでなく、ライフスタイルを想定して具体的に設定するのがコツです。
なお、ステップ3の「ペルソナ設定」とステップ4の「ユーザーの検索意図を探る」作業はセットになっているため、同時に考えても問題ありません。
④ユーザーの検索意図を探る
記事構成案を作成するプロセスで最も重要なのが、ユーザーの検索意図を探る作業です。ユーザーが対象キーワードを検索窓に入力した目的、つまり「何を知りたがっているのか」がわからなければ、正しい答えを提供できません。事前に選定しておいたメインキーワードや関連キーワードから、ユーザーの検索意図を導き出しましょう。
⑤読み終わった後のゴールを設定する
5番目のステップは、ユーザーが記事を読み終わった後のゴールを設定する作業です。たとえば、本記事の場合は「記事構成案の重要性を理解する」「記事構成案を悩まず作成できるようになる」、などが当てはまります。
⑥競合サイトの調査
通常リサーチすべき競合サイトは、メインキーワードの検索上位1~10位までのコンテンツが対象です。具体的には以下の項目などを調査します。
▼競合サイトで調査すべき項目
- タイトルの傾向
- 共通している見出し
- 全体の流れ(あらすじ)
- 結論に差異はないか
⑦記事に必要な要素を選ぶ
ステップ6までで集めた情報を書き出したうえで、記事構成案に含める要素を決定します。ランキング上位サイトで共通している見出しは必須要素として採用し、さらに以下のような要素を追加すると良いでしょう。
- 上位サイトでは取りあげていないオリジナル要素
- 別の視点から見た意見
- ランキング10位にしか書かれていない有益な情報
⑧言い換え語を探す(潜在層の獲得)
オリジナル要素のアイデアが浮かばず、上位サイトと似たような記事構成案になってしまった場合は、言い換え語が役に立ちます。メインキーワードの言い換え後にスポットを当てることで、隠れていた潜在ニーズが明確になり、全体の流れを維持したまま記事内容を膨らませることができるのです。
しかも、言い換え語を記事構成案に盛り込むことで、想定していたペルソナに加えて潜在層の獲得にも繋がります。
⑨見出し(h2/h3)の作成
最後のステップは、具体的な見出し作りです。本記事でご紹介している記事構成案のテンプレートに当てはめながら、「見出しタイトル」や「配置する順番」の最終案を完成させましょう。
なお、見出しを作成する際は、見出し毎に以下の要素を書き出しておきましょう。
- 本文の方向性
- 使用する図表のイメージ図(必要な場合)
- 引用元や出典元のURL
【パターン別】記事構成案のテンプレート例
この章では、記事構成案のテンプレートを以下4つのパターン別にご紹介します。作業時間が大幅に短縮できるので、ぜひ参考にしてください。
▼記事構成案のテンプレート例
- 基本
- ノウハウ系
- お悩み解決系
- 解説系
基本のテンプレート
記事構成案の基本系テンプレートは、どのテーマにも使えるのが特徴です。
- タイトル(テーマ)
- リード文(序文)
- 見出し(本文)
- まとめ(結論・総括)
ノウハウ系のテンプレート
以下の通り、ノウハウ系の記事構成案は「手順」や「コツ」を含めたテンプレートが鉄板です。
- タイトル
- リード文
- 基礎知識の解説
- ノウハウの手順
- コツ、ポイント、注意点など
- よくある質問
- まとめ
お悩み解決系のテンプレート
お悩み系のテンプレートには、ユーザーニーズの高い「原因」や「解決策」が欠かせません。
- タイトル
- リード文
- 悩みが起こる原因や理由
- 悩みに対する解決策
- コツ、ポイント、注意点など
- 応用編などの補足情報
- よくある質問
- まとめ
解説系のテンプレート
解説系のテンプレートは、ユーザーニーズが高い「結論」を最も目に留まりやすいリード文の直下に配置するのがコツです。
- タイトル
- リード文
- 結論(○○には▲▲がおすすめ)
- 基礎知識の解説(そもそも~)
- 解決の選択肢
- 結論の根拠(メリット・デメリット)
- コツ、ポイント、注意点など
- 活用法などの補足情報
- よくある質問
- まとめ
ただし、結論が条件や立場によって変動する、または全体のバランスが悪くなる場合は、「結論」をコンテンツの最後尾に配置した方が良いでしょう。
まとめ
記事の構成案作りはSEO対策の一環です。どんなに本文の内容が有益でも、見出しタイトルの表現・順番・オリジナル性・全体の流れがチグハグだと、ユーザーと検索エンジン双方に「読みづらい記事」や「自分が求めている記事ではない」と見なされてしまいます。
記事構成案を作成する際、「毎回、時間がかかってしまう」と悩んでいる方は、本記事でご紹介したノウハウやテンプレートを参考にしてください。