コアアップデートとは、検索順位を決定するアルゴリズムを更新することを指します。日々、様々なアップデートが繰り返されていますが、コア、つまり核となる部分を更新するのが「コアアップデート」であり、リリース直後は全世界で様々なWebサイトの検索順位が変動します。
過去のコアアップデートの履歴や背景を知ることで、コアアップデートが実施された際に適切な対応/対策を取りやすくなります。
今回の記事では、過去のコアアップデートの事例を解説するだけでなく、順位が下降した際の対策についても解説します。
↓【速報】2024年3月のコアアルゴリズムアップデートに関しては、下記を御覧ください
2024年3月6日にGoogleのアルゴリズムアップデートが発表されました。
今回は、いつものコアアップデートとは異なり、
・より「複雑」なコアアップデート
・スパムアップデートも同時リリース
との事でした。
特に、Googleがスパム対策に強い意志を持っていることがうかがえる内容でした。
ここ数年、SEOハック手法として横行していた「期限切れドメインの悪用」や「サイト評判を借りた順位上昇」の対策に本腰を入れるようなリリースでもありました。
これら要素も含まれる事から、いつも以上に大きく順位変動が発生する可能性があります。
コアアップデートとは
コアアップデートとは、Googleが検索順位を決める中心(コア)となるアルゴリズムを更新することを指します。
Googleのアルゴリズムは一般には公開されておらず、コアアップデートの頻度は、1年に2回から3回行われることが一般的です。
コアアップデートが実施された際は、検索順位が大幅に入れ替わり、サイトのアクセス数が大きく変動するため、SEOに携わる人間にとっては最も注視すべき動向の一つであると言えるでしょう。
コアアップデートをGoogleが行う理由
Googleの公式ページにコアアップデートを行う理由が示されています。
「コア アップデートは、全体として、関連性と信頼性の高いコンテンツを検索ユーザーに提供するという Google の使命を果たすことを目的としています。」
Google のコア アップデートについてサイト所有者が知っておくべきこと
コアアルゴリズムの改善を行うことで、コアアップデート前に適切に評価ができていなかったサイトやページに対して適正に評価が行えるようになり、検索ユーザーのニーズを満たした検索結果を表示することができるため、Googleはコアアップデートを行っています。
コアアップデートの注意点
コアアップデートが行われたからと言って、全てのサイトで順位が変動するとは限らない点には注意が必要です。
コアアップデート実施後にアルゴリズムの調整が入るため、順位が下がったからといってコアアップデート直後にサイトの変更を行わないようにしてください。
なお、コアアップデートが完全に終了するまでは、1週間から2週間掛かることが一般的です。
Googleの公式Twitterアカウントでコアアップデートの予告と完了の告知が行われるため、フォローして情報を見逃さないように注意しましょう。
コアアップデートの履歴とその内容
過去のコアアップデートの履歴と内容、そしてコアアップデートが行われた目的について解説を行います。
過去のコアアップデートの内容と目的を理解することで、今後コアアップデートが実施された際に対策を考えやすくなるでしょう。
2023年のコアアップデート
2023年のコアアップデートは、3月、8月、10月の3回行われました。
2023年10月コアアップデート
2023年10月6日に「October 2023 core update」がリリースされました。
2023年10月に行われたコアアップデートは、金融系のキーワードにおいて大きく順位変動が見られ、事業者のサイトが順位を上げました。以下のグラフが示すように、大手企業の事業者サイトの順位が上昇しています。
一方で、企業ドメイン型やメディアドメイン型のアフィリエイトサイトは順位を落としました。運営元の事業の特性とコンテンツの関連性が低い場合は、順位が顕著に下がっている傾向が確認できました。
しかし、全てのジャンルにおいて事業者サイトの順位が上昇した訳ではありません。競争の激しい「クレジットカード ◯◯」のキーワードにおいて上位に表示されていたのは、価格.comとダイヤモンド・オンラインのサイトでした。
これらのサイトには、金融以外の様々なジャンルの情報が掲載されているため、ドメインとコンテンツの関連性は低いと言えます。
競争の激しい金融系のジャンルにおいて、価格.comとダイヤモンド・オンラインのサイトは長年に渡って上位をキープしています。コアアップデートでGoogleの評価基準が変わったとしても、目先の順位に振り回されずにサイトを磨き上げていることが上位表示の秘訣だと言えるのではないでしょうか。
2023年10月のコアアップデートに関しては、以下の動画で詳しく解説しています。
以下のブログ記事でも、2023年10月のコアアップデートに関して解説しています。
2023年8月コアアップデート
2023年8月23日に「August 2023 core update」がリリースされました。
2023年8月に行われたコアアップデートでは、大きな順位変動は見られませんでした。しかし、顕著な変動を確認できた事例もありました。
FXジャンルにおいて、サブディレクトリ型のアフィリエイトサイトは、順位を大きく下げていました。
このサイトは、コアアップデートより前にドメインを移転しアクセスを大きく伸ばしていました。
しかし、2023年8月のアップデートにより順位が大きく下がりました。この事例が示す通り、ドメイン評価の利用といったSEOハックの手法は長続きしない、という点は覚えておくべきでしょう。
この他に、順位を上げたサイトの特徴を紹介します。コンテンツSEOでよく用いられる長尺のコンテンツではなく、検索キーワードに対する回答を記事冒頭に端的に示しているサイトの順位が上昇した事例がありました。
上記のサイトは、医療系の情報サイトであり、病院やクリニックが運営するサイトではありません。医療系のキーワードにおいては、E-E-A-Tが担保されているサイトでなければ、上位表示は難しいと考えられますが、このサイトの順位は上昇していました。
順位上昇の要因の一つとして、病院やクリニックからの被リンクの獲得が挙げられます。検索意図に沿ったコンテンツ作成により医療機関からのリンク獲得に繋がり、検索順位の上昇に繋がったと考えられます。
2023年8月のコアアップデートに関しては、以下の動画で詳しく解説しています。
以下のブログ記事でも、2023年8月のコアアップデートに関して解説しています。
【2023年8月速報】コアアルゴリズムアップデートでどのサイトが動いた?その傾向とは?
2023年3月コアアップデート
2023年3月15日に「March 2023 core update」がリリースされました。
2022年9月以来の半年ぶりに行われたコアアップデートであり、様々なジャンルで大きな順位変動が見られました。
2023年3月のコアアップデートの特徴として、事業者や公式サイトの順位が上昇し、アフィリエイトサイトの順位が下降したという点が挙げられます。
以下の表は、YMYL混合の脱毛系キーワードにおけるサイトの順位変動を示しています。アフィリエイトサイトに代表される、他のサイトへの送客を目的としたサイトの順位が大きく下がっていました。
一方で、脱毛領域で順位を上げたサイトも存在します。アフィリエイトサイトも一部で順位を上げていますが、脱毛クリニックの公式サイトの順位上昇が目立ちました。また、順位が上昇したサイトに、サブディレクトリ貸しのサイトが含まれていなかった点は、大きな特徴だと言えるでしょう。
暗号資産のキーワードに置いても、実際にサービスを提供する事業者(暗号資産サービス、金融サービス、投資顧問業)のサイトの順位上昇が確認できました。
2023年3月のコアアップデートは、公式や事業者のサイトの順位が上昇したことから、ドメイン評価に傾いていた検索結果に対して、Googleが健全化を図ったことが伺えます。詳しくは、以下の動画で解説しています。
2022年のコアアップデート
2022年は、9月と5月にコアアップデートが実施されました。
2022年9月コアアップデート
2022年9月13日に「September 2022 core update」がリリースされました。
全体的な変動は小さいコアアップデートでしたが、YMYL領域では順位変動が確認できました。例えば、ある薬の通販サイトは様々なキーワードで1位を獲得していましたが、コアアップデート後に順位を落としました。
この順位を落としたサイトのコンテンツは、検索意図に沿った内容でしたが著者情報が掲載されていませんでした。特にYMYL領域においては、著者情報の掲載はE-A-Tの観点から重視されています。著者情報が載っていないことが順位下降の原因だと断言はできませんが、重要な要因の一つである可能性は高いと考えられます。
反対にYMYLの領域で順位を大きく上げたサイトも存在します。以下のデータは、あるクリニックのサイトです。ドメイン移転をしていない新規ドメインであり、2021年12月に開設されたと思われる新しいサイトであるにも関わらず、医療系のキーワードにおいて短期間で順位が上昇していました。
順位上昇の原因として、このサイトが病院の検索サイトから被リンクを獲得していた点が挙げられます。病院の検索サイトに掲載されるには、保険診療の届け出を行っている病院、クリニック、保険調剤薬局である必要があります。順位上昇を果たしたクリニックのサイトは、病院検索サイトからの被リンクがあったため、E-A-Tのシグナルとして機能した可能性が考えられます。
医療系のキーワードにおいて、E-A-Tで評価される要因がなければ、良質なコンテンツを作成しても上位表示は難しいのが現状です。そのような状況でも、新規ドメインでありながら検索順位が上昇した原因は、コンテンツが検索意図を満たしたものであり、E-A-Tの情報を表示し、病院検索サイトからの被リンクがE-A-Tを担保するシグナルとして機能したため、順位が上昇したのではないかと考えられます。
2023年9月のコアアップデートに関しては、以下の動画で詳しく解説しています。
2022年5月コアアップデート
2022年5月26日に「May 2022 core update」がリリースされました。
2022年5月のコアアップデートの特徴として、検索意図を満たし、独自性のあるコンテンツを掲載しているサイトは順位が上昇していました。「スマホ おすすめ」のようなガジェット系のキーワードにおいて、特に顕著な傾向が見られました。
コアアップデート前は、評価の高いドメインであれば検索意図への対応や独自性に多少の問題があったとしても上位に表示されていました。しかし、今回のコアアップデートにより内容が重視される方向に調整されました。
薬剤師求人系キーワードでも同じ傾向が確認できました。大手サイトであっても検索意図を満たしたサイトは順位が上昇していましたが、検索意図を的確に満たしていないサイトは大手サイトでも順位が下落していました。
また、2022年5月のコアアップデートの特徴として、tiktokの順位が上昇してた点が挙げられます。「動画を見たい」という検索意図を含んだキーワードの場合、TikTokが表示されることが増加したことが原因として考えられます。
検索意図を満たすためには、記事だけでなく動画や画像といった検索ユーザーが求める形式でコンテンツを提供する必要があります。動画を望む検索ユーザーが増えたため、コアアップデートにより検索結果に動画が表示されるケースが増加したと考えられます。
2022年5月のコアアップデートに関しては、以下の動画で詳しく解説しています。
【2022年5月】コアアルゴリズムアップデートで落ちたサイトとは!?
2021年以前のコアアップデート
2021年以前のコアアップデートの主な特徴を表にまとめました。
年月 | アップデート名 | 主な特徴 |
2021年11月 | November 2021 Core Update | 大きな変動は少ない 企業ドメインの評価見直し コンテンツの関連性を重視 |
2021年6月-7月 | June 2021 Core Update, July 2021 Core Update | 辞書サイトの順位上昇 公式サイト・情報量が豊富なサイトの順位上昇 ドメイン貸しサイトやアフィリエイトサイトの順位下落 |
2020年12月 | December 2020 Core Update | コンテンツ品質重視 ドメイン評価の影響減少 |
2020年5月 | May 2020 Core Update | 大手サイトを中心としたドメイン単位での順位上昇 YMYL領域での順位変動 |
2020年1月 | January 2020 Core Update | YMYL領域での順位変動 E-A-T重視 |
2019年9月 | September 2019 Core Update | 特定の順位変動のパターンなし 「◯◯とは」のような情報系キーワードで動画コンテンツの表示率上昇 |
2019年6月 | June 2019 Core Update | YouTube動画の表示率上昇 医療・健康に関わらず信頼性の高いサイトの順位上昇 |
2019年3月 | March 2019 Core Update | 医療・健康関連サイトの順位変動 E-A-T (専門性、権威性、信頼性) の重視 |
2021年以前のコアアップデートの特徴としては、医療・健康分野やYMYL(Your Money Your Life)領域、E-A-T(専門性、権威性、信頼性)、ドメイン評価、そしてコンテンツの関連性といった要素に焦点を当てて、検索エンジンのアルゴリズムを調整しています。これにより、ユーザーの検索意図に寄り添ったコンテンツの提供と、信頼性の高い情報を検索ユーザーに提供することを目的としていると考えられます。
コアアップデートで順位が落ちた場合の対策
コアアップデート後に順位が下落したとしても、コアアップデート実施後にアルゴリズムの調整が入ることがあるため、コアアップデート直後にサイトの変更を行わないように注意してください。
コアアップデートが完全に終了するまでは、1週間から2週間掛かることが一般的です。コアアップデートの完了は、Googleの公式Twitterアカウントで告知されます。
コアアップデート完了後に順位下落が確認できた場合、以下の動画で解説している対策を行い、順位上昇のためのコンテンツ改善に取り組みましょう。
近年のコアアップデートで重視されているE-E-A-Tを重視したコンテンツを作成すれば、下降した検索順位が上がるという単純な話ではありません。
また、Googleの方針や技術発展によりコアアップデートの際にコンテンツの評価基準が変わった結果、検索順位が変動します。そのため、コアアップデート後に順位が下がったからといって、そのコンテンツが低品質であるとは言い切れません。
Googleの公式サイトにて以下のように言及されています。
「コア アップデート後にページの掲載順位が下がったとしても、そのページに修正すべき問題があるとは限りません。」
Google のコア アップデートについてサイト所有者が知っておくべきこと
優れたコンテンツを提供することに集中することをおすすめする
とGoogleの公式サイトで解説されているように、検索順位が下落した場合でも重要視するべき事は、ユーザーの検索意図に合致したコンテンツを提供することにあります。
以下の手順に沿って順位が下落した原因を把握し、対策を講じると良いでしょう。
- サーチコンソールにて、アクセス数が減少した前後の期間でクリック数が減少したページを把握します。
全てのページでアクセスが等しく減少するとは限らない点には、注意してください。
- Google Analyticsにて、アクセス数が減少した前後の期間でコンバージョン数が大幅に減ったページを把握します。
コンバージョンが大幅に減少したということは、優先的に改善が必要なページだと言えます。
- サーチコンソールに戻り、コンバージョンが減少したページを分析しクリック数が大幅に減少したクエリ(コンバージョンに貢献していた可能性が高いクエリ)と検索順位の変化を確認します。
- クリック数が減少したクエリの検索ニーズに合致したコンテンツになるよう記事を改善することで、検索順位の改善を図ります。
まとめ
コアアップデートとは、Googleが検索順位を決める核(コア)となるアルゴリズムを更新することを指します。
コアアルゴリズムの改善を行うことで、より検索ユーザーのニーズを満たした検索結果を表示することを目的とし、年に2回から3回定期的に実施されています。
また、Googleの方針や技術発展によりその都度異なるため、過去の内容を理解し順位が下落した場合に備える必要があります。
コアアップデートリリース直後に検索順位が落ちた場合は慌てずに調査し、検索意図に合致したコンテンツに改善し直し、上位順位の再起を図るのが望ましいでしょう。