“あるキーワードを検索したら、長文コンテンツページが上位を獲得していた”ということはありませんか?
このようなケースを目にすると、「1位を取るには文字数が必要なのか」「やっぱり文字数と検索順位は関係があるんだ」と考えるかもしれません。
しかし今回、検索順位と文字数の関係や文字数の順位への効果を調べると、文字数よりも検索意図を満たすことが重要であることがわかりました。
この記事では、その調査方法や、調査結果について解説していきます。
「上位を獲得するには長文が必要?」「いったい何文字必要なの?」とお悩みの方の参考になれば幸いです。
2,734キーワードの文字数と順位の相関を調査
今回は、さまざまなジャンルのキーワード 計2,734個 で、検索上位にあるページの文字数を1~20位まで調査しました。
特に注視したのは、本文の文字数です。Webページの本文とは、このページの場合、赤枠内の箇所です。
全体の文字数を調べても意味がありませんからね。
また、本文の文字数にこだわるのは、Googleが定める検索品質評価者ガイドラインに、メインコンテンツという言葉が何度も登場するためです。
ガイドラインには、「そのページを評価する際に本文=メインコンテンツを正しく評価しましょう」と書かれているのです。
そのため、本文の文字数を調べることがとても重要になります。
検索順位ごとの文字数を調べた結果
今回は、AIを使った本文抽出エンジンで本文の箇所の文字数を抽出しました。
検索結果と順位の結果がこちらです。
このグラフでは、横軸が検索順位、縦軸が文字数を示しています。つまり、順位ごとのページの平均文字数が棒グラフになっています。
結果を見ると、どの順位の平均文字数もほとんど同じでした。順位と文字数に関係性は見られないということでした。
“検索順位が上がれば上がるほど文字数も増える”という結果が出れば、文字数と検索順位には一定の相関があると言えます。しかし今回の調査結果では、その関係性がほとんど見られませんでした。
ページ単位・順位単位で調べた結果
ではより細かく、ページ単位と順位単位で見てみましょう。
1位の記事を見ると、約2,000文字のページもあれば、約9,000文字のページもあります。約9,000文字のページが1位にあるので、1位になるページの文字数は多いかのようにも見えます。
しかし、17位に約14,000文字のページもあります。
この結果から、ページ単位と順位単位で見ても、文字数と順位はあまり相関がないと言えるでしょう。
上位記事の文字数が多い or 少ないはキーワードによる
続いて、文字数が多いページが上位にあるキーワードと、文字数が少ないページが上位にあるキーワードを調べてみました。
その結果がこちらです。
それぞれの文字数を比較すると、
- 文字数が多いページが上位にあるキーワード
⇒ 上位ページの平均文字数は8,000~10,000文字とかなり多い - 文字数が少ないページが上位にあるキーワード
⇒ 上位ページの多くは、1,000文字未満
となります。
以上から、文字数が多いページのみが上位に上がるのではなく、上位ページの文字数はキーワードによって異なることがわかります。
では、なぜキーワードによって異なるのでしょうか?
なぜ上位記事の文字数はキーワードによって異なる?
上位記事の文字数がキーワードによって異なる理由は、キーワードによって検索意図が異なるためです。
具体的なキーワードを例に挙げて、詳しく説明していきますね。
例1:KW「動画編集 スクール」
「動画編集 スクール」というキーワードを見てみましょう。検索ボリュームは1,900回です。
このキーワードの検索結果を見てみると、「厳選9校」「ランキング17選」といった記事型ページのタイトルが上位にきています。
実際に上位ページにアクセスすると、文章で構成されているロングコンテンツの記事がほとんどでした。このようなページです。
次に、このキーワードの上位10位ページの文字数を調べてみました。
その結果がこちらです。
ご覧の通り、上位に上がってくるページの多くが1万文字以上で、平均文字数も約13,000文字とかなり多くなっています。
続いて、1~10位の間で、順位と文字数の相関を見てみましょう。
上位のページほど文字数が多く、下位のページほど文字数が少ないのか、という点です。
2位や5位のページは約12,000文字あるのに対して、7位や9位のページは約14,000文字です。
約2,000文字も多いにもかかわらず、順位は下になっています。
ただ文字数が多ければ多いほど順位が上がるわけではなさそうですね。
しかし、このキーワードの上位1~10位のページの平均文字数は約13,000文字です。
上位10位のページの多くが、10,000文字近くもの情報量を持っているのです。
この結果だけ見ると、「やっぱり文字数は必要なんだ」と捉える方もいるかもしれません。
しかし、他のキーワードを見ると考えが変わると思います。
例2:KW「メンズ チノパン」
「メンズ チノパン」という、検索ボリューム1,300回のキーワードを見てみましょう。
上位ページを見てみると、楽天市場やAmazon、ZOZOTOWNがあります。
実際にこれらのページにアクセスしてみると、このように商品の画像がずらっと並んだ、商品一覧ページとなっています。
では、「メンズ チノパン」では1~10位のページはすべて商品一覧ページなのでしょうか?
上位1~10位のページタイプを調べた結果がこちらです。
一部は記事ページですが、ほとんどが商品一覧型のページです。
このように「メンズ チノパン」というキーワードでは、記事型ページよりも商品ページの方が上位にきているため、順位を左右しているのは文字数ではないと言えます。
例3:KW「かっこいい メンズ チノパン」
では、「かっこいい チノパン メンズ」ではどうでしょうか。検索ボリュームは40回です。
先ほどの「メンズ チノパン」では、商品一覧ページが上位にあり、文字数が重要ではないことがわかりましたが、「かっこいい」をつけるとどうなるかを調べてみます。
実際に検索してみると、1位は「おすすめブランド11選」という記事型コンテンツらしいタイトルでした。
上位10位のページタイプを調べると、次のようになりました。
一部に商品一覧ページがありますが、ほとんどが記事型ページですね。
結果を比べると、
- 「メンズ チノパン」 → 商品一覧ページが上位にきている
- 「かっこいい メンズ チノパン」 → 記事型ページが上位にきている
となります。
なぜこのような違いが出るのでしょうか?
その理由は、「メンズ チノパン」というキーワードは、検索意図が非常に広い、広すぎるためと言えるでしょう。
キーワード「メンズ チノパン」には、
- 色
- かっこいいチノパン
- “いい感じ”のチノパン
- サイズ
- 他のアイテムとのコーディネート
など、さまざまな検索意図が隠れています。
そして、これらのさまざまな検索意図に応えるために効果的なのが、このような商品の画像をずらっと一覧で見せるページなのです。
このようなページであれば、商品の画像をユーザーが自ら選ぶことで、検索意図をより鮮明にしていくことができます。
Googleは、
- 「メンズ チノパン」のような幅が広い検索意図の段階で、文章が続くの記事型ページを見せるのはベストではない
- たくさんの商品の画像を一覧で見せるページの方が、ユーザーの検索意図に応えられる
と判断していると考えられます。
一方で「かっこいい チノパン メンズ」では、「かっこいいチノパンを探す」と、検索意図が非常にはっきりしています。
この場合、文章と画像を使いながらしっかりと丁寧に説明することで、ユーザーが知りたい情報をより深く提供できます。
対策すべきページの“型”をどう判断するのか
記事ページで対策すべきか、それとも他の型で対策すべきかを判断する方法の1つは、関連キーワードの検索順位を見ることです。
先ほどのキーワード「かっこいい チノパン メンズ」で具体的に見てみましょう。
こちらのグラフはKeywordmapの共起語ツールで調べた分析結果になります。
「かっこいい チノパン メンズ」で上位にくるURLが「かっこいい チノパン メンズ」の共起語で何位になるかを表しています。
メインのキーワード「かっこいい チノパン メンズ」で1位のページは、「シルエット」「コーデ」「着こなし」などの関連キーワードでも上位に上がっています。
「メンズ チノパン」でも同様に調べてみましょう。
その結果がこちらです。
グラフは真っ赤になり、メインのキーワード「メンズ チノパン」で1位のページでさえ、「ストレッチ」「おすすめ」などとの掛け合わせになると、圏外になってしまうことがわかります。
このように、関連キーワードの順位を見ると、どのようなページ対策すべきかの判断がつきやすいです。
まとめると、次のようになります。
- 「かっこいい メンズ チノパン」・・・検索意図が明確
⇒ 検索意図をできるだけ深くカバーする必要があるので、記事型ページで対策することが望ましい - 「メンズ チノパン」・・・さまざまな検索意図が含まれている
⇒ それぞれの意図に応えるためには、記事で幅広くカバーするより、機能的役割を持ったページ=商品一覧ページでの対策が望ましい
このように関連キーワードの順位を見ると、どのようなページの型で対策するべきか判断できます。
そのため単に、キーワードを決める→検索意図を調べる→とりあえず記事を書く、といった流れで記事を書いてはいけません。
大切なのは、キーワードと検索意図を調べながら、ユーザーはどのような情報をどのような形で求めているのかまで分析し、求められる形でページを作ることです。
私はこれを「検索結果最適化」と呼んでいます。検索結果最適化については、こちらの動画で説明しています。ぜひあわせてご覧ください。
文字数以外が順位に影響する例:YMYL
他にも、文字数以外が順位に影響する場合があります。
その1つは、YMYLのキーワードです。YMYLではE-A-Tが重視され、財団法人、独立行政法人、大手企業などページが上位に上がりやすいです。
例えば、「認知症 予防」では次のような検索結果になります。
つまり、YMYLでは、コンテンツや文字数、検索意図など以前に、誰が発信しているかがとても重視されるのです。
【失敗例】文字数を追求して順位が上がらなかったケース
ここで、文字数を追求して順位が上がらなかった失敗例をご紹介します。
キーワードは「転職 営業 ○○」です。
このキーワードの1位のページと19位のページの文字数を比較すると、19位のページの方が文字数が多いことがわかりました。
しかし、検索順位は上がっていません。
その理由は、19位のページは検索意図に応えてなかったためです。
19位のページには「転職 営業 ○○」に関する重要なテーマ=重要な検索意図が抜けていました。
例えば、「学歴不問」「基本給」「強み」「勤務地」「月給」などです。
文字数は多いけれど、重要なテーマに触れ忘れており、検索意図にほとんど応えていません。
このように、自分が言いたいこと、発信したい事だけを書いてしまっているケースを目にします。その結果、文字数は多いにも関わらず、検索順位が上がらない結果となりました。
この例からも、単に文字数ではなく検索意図に応えることが、今も昔も変わらないSEOの重要ポイントだと言えます。
まとめ
今回、文字数と検索順位に相関を調べた結果、大きく次の2点がわかりました。
- 重要なのは、文字数よりも検索意図を満たしているかどうか
- キーワードによって検索意図が異なり、望ましい対策方法(=ページの型)も異なる
検索意図をしっかり網羅して、意図に合った方法で情報提供しなければ、どれだけ文字数を書こうが順位が上がらないというのが実態でしょう。
また、“検索意図に応える = 記事で長文を書く”ではありません。
キーワードによって検索意図に応える方法には、
- 記事型で対策する
- 商品やその他の一覧ページ、商品詳細ページを見せる
- 動画や画像で見せる
などがあります。
ユーザーはどのような意図を持っており、どのような形で情報を見たいのか。
そこまで踏まえて、コンテンツの形式や型を考えて作っていきたいものです。