大規模サイトのSEOを「一部」お見せします

今回は、大規模サイト向けのSEO対策について解説します。

私は、様々な大規模データベース型サイトのSEOコンサルティングを手掛けてきました。この経験から、大規模サイト特有のSEOを一部、要点を絞って説明します。

大規模サイトSEOの基本概念

大規模サイトとは?

大規模サイトのSEOについてお話しする前に、このページで指す「大規模DB型サイト」とは何かを明確にしたいと思います。

例として、「価格.com」「Amazon」「@cosme」「MonotaRO」のようなWebサイトを「大規模DB型サイト」とします。

これらサイトは、数多くの商品やサービスのデータレコードを持ち、それらレコードをひとつのページとして自動生成&出力してサイトを構築しています。

大規模サイトにおけるSEO

では大規模DB型サイトのSEO施策は、他の小規模サイトのSEOとは異なるのでしょうか?

コンテンツ品質やOn Page SEOなど基本的なSEO施策は同じですが、大規模サイトはその規模が大きいゆえに、小規模サイトとは異なる取り組みも必要です。

その中でも重視するのが「クローラビリティ」と「インデクサビリティ」、「PLP」です。

どうしても膨大なページ数を保有する為、小規模サイトでは直面しない「クロールされない」「インデックスされない」という課題に直面しがちです。

これら大規模サイト特有の課題を取り除くことから、SEOが始まります。

また、小規模サイトと異なり、大規模サイトではページ単一のSEO戦術を取ることが難しい傾向にあります。

著者がひとつひとつのページを執筆し、ページを作成する記事型サイトとは異なり、DB型サイトは格納されているデータレをテンプレートを用いてページ化し、自動出力する事で一気に膨大なページ数を生成します。

したがって、ページ単一の品質評価で上昇する戦術ではなく、ページ群やサイト評価で上昇を図るのが基本的な方針となります。こうなると、評価の源泉でもある大量のページが適切にインデックスされていないと、SEO効果を十分に引き出せません。

さらに、似た内容のページが多いと、サイト内でのランキング争い、いわゆるカニバリゼーションが起こりやすくなります。この問題に対処するには、適切なSEO施策を選び、実行することが重要です。

大規模サイトSEOの4つポイント

大規模サイトのSEOを成功させるには、おさえるべきポイントを理解し、適切な施策を選定し、実行することが求められます。

ここでは大きく4つのポイントで説明します。(※4つ以外にも重要ポイントは存在しますが、今回は4つのみ紹介)

【1】クローラビリティ

これは、サイト内に存在する大量のページを適切かつ効率的にGoogleクローラーに回遊させる為の施しを指します。サイトが拡大し続けるため、新たなページがスムーズにクローリングされ、インデックス登録されるよう整備することが大切です。

参考:大規模なサイト所有者向けのクロール バジェット管理ガイド

【2】インデクサビリティ

これは、サイト内のページがGoogleにインデックスされる状態を指します。大量のページを持つ大規模DB型サイトでは、公開ページをテーマごとに強調しながらインデックス登録し、各ページの順位上昇を目指します。

この手法で順位上昇を図るためには、インデックス対象とするページの品質を半自動的にコントロールし、できる限りインデックス登録させる必要があります。

【3】PLP(優先的なランディングページ)

サイト内に存在する数多くのページのうち、クエリごとにヒットさせるべきページと、実際にヒットしているページを意図的に一致させる事を指します。

【4】On Page SEO

これは、構造化マークアップやページ表示速度の高速化、内部リンク構築、テンプレート改修によるテーマ性の強調などページ単位で行うSEO施策を指します。

これらのポイントを抑えて対策することで、大規模サイトはそのポテンシャルを最大限に活かし、順位上昇を図ります。

よくある大規模サイトのSEO課題

大規模サイトがSEOで直面する主な課題は、サイトの規模や構成の複雑さから生じることが多いです。ここでは、よくあるSEO課題を一部紹介します。

インデックス登録率の低さ

まず、大規模サイトの課題の一つに「インデックス化率の低さ」があります。

ページ数が多く、自動生成である事からページ品質の維持が出来ておらず、結果インデックス登録されないサイトがときたま見られます。

せっかく有益なページが多数あるにも関わらず、サイト内に低品質コンテンツがあるために、これら有益ページ群もインデックスされない勿体ないケースも目にします。

ページのカニバリ

次の課題は「カニバリゼーション」です。

似た内容のページが多いと、これらが互いに競合し、どのページも検索結果の上位に表示されにくくなります。この問題は、多様な製品やサービスを提供する大規模サイトでよく見られます。

また、canonicalやnoindexによって防げる重複ページの課題も見られるため、テクニカルSEOで改善できる余地もあります。

クロール回遊率の低さ

また、「クローラー回遊率の低さ」も大規模サイトSEOでよく挙がる課題のひとつです。

ページ数が多く構造が複雑なサイトは、Googleのクローラーが完全に巡回することが難しくなります。さらに、低品質のコンテンツが多い、またはナビゲーションが複雑で、ユーザーとクローラーの両方にとってナビゲートしにくい点も問題となります。

これらの課題に適切なSEO対策を施すことで、大規模サイトはその潜在的な価値を十分に発揮することができます。次に、これらの問題に対する具体的な解決策を詳しく解説していきます。

インデクサビリティを向上させてみる

インデックスアビリティの向上には、クローリングの阻害となる要因を排除し、ページ品質の維持や制御が重要となります。

では、インデクサビリティを悪化させている要因を調べてみましょう。

サーチコンソールを開き、インデックス作成>ページ を順にクリックします。

すると、サイト内のページのうち、どれくらいインデックス登録されたか表示されます。

上記の例では、インデックスの未登録を示すグレー色のグラフが大半を占めている事から、このサイトの多くのページはインデックス登録されていない事がわかります。

この「未登録」が意図的なインデックス登録回避なのか、それとも品質などに課題がありインデックス登録されなかったのかによって、この状況の捉え方(評価)が変わってきます。

もし、意図的ではない未登録の多さであれば、その要因を調査し、改善する必要があります。

では、その要因を探ってみましょう。

サーチコンソールには「ページがインデックスに登録されなかった理由」が表示されますので、これら項目を深掘りながら要因を探っていきます。

例えば、「クロール済み – インデックス未登録」の場合、Googleクローラーはページを取得したが、インデックスには登録しなかった事になります。

実際にページ検査の結果を見ると、ページも取得し、インデックス登録も許可されているにも関わらず、何らかの要因によってGoogle自らがインデックス登録しなかった事が伺えます。

では、なぜページクロールしたにも関わらず、インデックス登録しなかったのか?

一概には言えませんが、要因のひとつに対象ページのコンテンツ品質の低さが挙げられます。

とある案件のサイトでは、ユーザーの口コミを大量に保有しており、商品のランキングサイトを構築していました。

商品ごとに投稿された口コミを一覧で表示していたものの、口コミ単体でも表示できるサイト構造にありました。

これらの口コミ単体ページは、ほぼインデックスされていない上、ユーザーからのアクセスもほとんどありませんでした。

ユーザーにとってもページの必要性が無かったこの「口コミ単体ページ群」は、これを機に全ページクローズしました。結果、不要なクロール回遊を誘発させていたページを排除し、サイト全体の評価低下を防ぎました。

このように、サイト構造や構築当初の仕様によりページ品質が担保できないページが大量に生成され、インデックス未登録が多発する事があります。これら構造上の課題を発見し、対処していくことが大規模サイトSEOの一つと言えるでしょう。

なお、インデクサビリティに関しては、別の動画「【SEO対策】ページをインデックス登録する方法」で詳しく解説していますので、合わせて御覧ください。

サイトマップによるインデックス率のモニタリング

サイトマップとは、サイト内のページ構造を一覧で示したファイルで、Googleなどの検索エンジンへサイト全体の構造を効率よく伝えます。

大規模サイトSEOの場合、このサイトマップは「URL通知の役割」に加えて、「インデックス化率のモニタリング」にも利用したりする事もあります。

例えば、論理階層ごとにXMLサイトマップを自動生成し、サイトマップインデックスでまとめます。

これらサイトマップインデックスに掲載したXMLサイトマップは、サーチコンソールにも登録されます。

サーチコンソールでは、各サイトマップのインデックス登録率をグラフで表示してくれます。これにより、指定したURL群のインデックス化率をモニタリングできます。

もし、インデックス化率向上のSEO施策を施した際は、サイトマップを用いてその効果や反応を適切にモニタリングすると良いでしょう。

アクセスログによる解析

ここまでサーチコンソールによる調査方法を説明しましたが、サーチコンソールによる調査はあくまでもざっくりとした物に留まります。

大規模サイト、とりわけ運用歴が長いサイトの場合、数年前に運用が終わってそのまま宙ぶらりんになってしまった古いキャンペーンページや、機能していないAPIによるJSON出力が大量に残っているケースがあります。

これら「宙ぶらりんの残骸ページ群」を探すには、過去のURLリストをできる限り抽出し、調査するのが望ましいでしょう。この際に用いるのがサーバーのアクセスログです。

サーバーのアクセスログからサイト内に存在したURIを抽出し、GA4やサーチコンソールの検索パフォーマンスデータを結合します。

長年存在し続けているURLで、長期間インプレッションすら発生していないページは、低品質ページの温床となっている可能性が高いURLと考えられます。

これらデータを元に、低品質の温床となっている階層やページ群を抽出し、対策必要箇所を洗い出していきます。

PLPの最適化

PLP(Preferred Landing Page)の最適化は、検索エンジンを使うユーザーを欲しい情報や製品へ正確に誘導するために重要です。

大規模なサイトでは多くのページがあり、本来ヒットさせるべきページと、実際に検索ヒットするページに差が発生する事があります。

とりわけ、検索順位が低い階層ほど、PLPの不一致が発生している傾向にあります。

この「PLPの不一致」を調査すべく、論理階層ごとに検査キーワードをリストアップし、検索順位とヒットURLを抽出します。

もしPLP不一致が大量に発生している場合、対象となる論理階層配下の改善が必要となります。

とるべき施策は多数存在しますが、良く用いられる施策として「テーマ性の分離と強調」です。

とあるECサイトでは、本来カテゴリページでヒットさせるべき一般名詞キーワードが、商品詳細ページでヒットしていました。DBに入稿された商品名が一般名詞であり、カテゴリページ(商品一覧ページ)と強調テーマが類似していました。

カテゴリページとテーマ性を分離すべく、Title等で強調する主軸テーマに変更を加えました。(商品詳細ページにはメーカー名や型番などもtitle内に挿入)

同時に論理構造の整理に伴う内部リンクの再構築によって、PLP不一致は徐々に改善されました。

以上のように、PLP一致調査を通して、本来のLPとヒットしているLPに不一致が発生している論理階層やページ群を発見し、不一致を引き起こす要因を調査します。その調査から分かった要因を取り除く施策を施すことで、徐々に順位上昇させていきます。

クエリに応じた戦術選定

ここまで大規模サイト向けのSEOを解説しましたが、その多くが「テクニカルSEO」であると映ったかもしれません。

しかし、大規模サイトだからといって全てのSEO施策がテクニカルSEOという訳でもありません。

大規模サイトのSEO戦略を立てる時、各キーワードやクエリに応じた適切な対応が大切です。

例えば「転職 名古屋」のキーワードには転職情報を一覧表示するDB型ページが上位に表示されます。

しかし、キーワードを少し変えた「転職 レジュメ 書き方」ではレジュメの書き方説明する記事ページが上位に表示されます。

つまり、キーワードによってユーザーが求める情報の型は変わり、上位表示のページ形式も変わるのです。

大規模サイトを運営する際、扱うキーワードは広範にわたるため、データベース型のページだけでなくコンテンツページとの組み合わせも重要です。

例として挙げられるのがIndeedです。

大型DB型アグリゲーションサイトの代表格であるIndeedですが、全てのページがDB型というわけではありません。

/career-advice/配下には、多数の就職アドバイスコンテンツを格納しており、DB側では検索ヒットしないキーワードで多数の集客に成功しています。

このように、検索キーワードの検索意図に応じて適切な「ページの型」を選定し、SEOを施すのが望ましいでしょう。

結論として、大規模サイトのSEO戦略では、多様性を取り入れ、ユーザーの検索意図に合った価値ある情報を提供することが重要です。戦略を柔軟に調整し、継続的な改善を行うことで、サイト全体のSEO効果を最大化できることでしょう。

最後に

今回紹介した「大規模DB型サイトのSEO」は、実務で行う施策のほんの一部にしか過ぎません。

また、大規模サイトになるほど関係者が増える為、プロジェクトマネジメント能力が求められます。

エンジニア向けに要件定義書を起票したり、開発側とのプロダクトマネージャーと連携しながら工程管理をしたり、ページ統合や機能廃止、表現変更に伴うビジネス側との調整など、「調整力」と「推進力」、「折衝力」が求められます。

これらプロジェクトマネジメント能力があってこそ、大規模サイトでのSEO効果を得られるものだと思います。

※この文章は、YouTube動画をAIで書き起こし、記事化したものです。