医療情報ネット「ナビイ」のSEO課題と改善策

厚生労働省が運営する医療情報ネット「ナビイ」は、国民に役立つ医療機関検索サイトとして公開されました。

しかし、SEO(検索エンジン最適化)の観点から見ると、サイト内には多くの課題が存在しており、結果的にGoogleで上位表示できていない状況にあります。

そこで今回は、ナビイのSEO課題を分析し、その改善案の一部を説明いたします。

ナビイの現状

ナビは厚生労働省のドメイン(https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/)配下で運営されている医療情報サイトです。

2024年4月1日から医療情報ネット「ナビイ」を厚労省が運用開始
医療機能情報提供制度について

都道府県や市区町村、準公共機関から多数のリンクを獲得しているにもかかわらず、検索結果では上位に表示されていません。

実際に、5,620個の関連キーワードで検索順位を調査したところ、ナビイは418個のキーワードでしか1位から10位に入っていませんでした。

これは競合サイトと比較して著しく低い数字です。例えば、「byoinnavi.jp」は4,670個、「caloo.jp」は3,672個、「doctorsfile.jp」は3,467個のキーワードで上位表示されています。

これら検索順位データからも、殆どの主要キーワードで上位表示出来ておらず、国民にサービスが届いているようには見受けられませんでした。

なぜここまで順位が付いていないのか、その要因/課題を分析してみました。

SEOの主要な課題

1. インデックス化率の低さ

ナビの最も深刻な問題は、Googleのインデックスに登録されているページ数が極めて少ないことです。要因は多数存在しますが、その中でも主に2つの要因が挙げられます。

(要因1)クローラビリティの低さ

ナビイは、サイト構造上、そして用いられている実装方法により、Googleクローラーがサイトを回遊し辛い状況にあります。

例えば、トップページから下層ページへの遷移リンクは、JavaScriptに実行され遷移するリンクとなっており、JavaScript Void(0)を実行できないクローラーは、このリンクをたどることができません。

結果、Googleクローラーがこのサイトを回遊できず、他ページのURLを発見/検知できない状態にあります。これが、ページのインデックス化率の低下のいち要因と考えられます。

【参考】
GoogleBotは、JavaScriptのVoid(0)のリンクをクロールできますか?
GooglebotによるJavaScriptの実行&読み込みを検証
JavaScript SEO の基本を理解する

(要因2)サイトマップの不備

サイト内のページをインデックスする為に、必ずしもGoogleクローラーが自ら全てのURLを発見する必要はありません。サイトマップを用いる事で、サイトオーナー側がURLの存在をGoogleに伝達する事もできます。

しかし、現ナビイのサイトマップ設定が適切でなく、クローラーに正しくURLを通知出来ていないようにも見受けられました。

例えば、robots.txtで指定されているXMLサイトマップにはhttps://www.zenkoku-syouyo.jp/というナビイと異なるドメインのURLが記載されており、ナビイのXMLサイトマップの役割を果たしているとは言えない状況にありました。

2. URL構造の問題

ナビイのURLは非常に長く、複雑です。

例えば、岩手県盛岡市の脳神経内科他の一覧ページのURLは以下のようになっています:

https://www.iryou.teikyouseido.mhlw.go.jp/znk-web/juminkanja/S2400/initialize?sc=01-03-1-01013,01-03-1-01025,01-03-2-02002,01-03-2-02003,01-03-2-02004,69-01-188-n2_1_a_kouketsuatsu,69-01-188-n2_1_i_nousottyuuno,69-01-188-n2_1_u_nousottyuuno,69-01-189-n2_2_1_a_senmonteki_shindan,69-01-189-n2_2_1_i_ct_moshikuha_mri,69-01-189-n2_2_1_u_haiyousyoukougunwo,69-01-189-n2_2_1_e_nousottyuuwo,69-01-189-n2_2_1_o_nousottyu_senyou,69-01-189-n2_2_1_ka_goensei_haienno,69-01-189-n2_2_2_a_sentakuteki_noukessen,69-01-189-n2_2_2_i_soshiki_tpa,69-01-189-n2_2_2_u_nounaiketsu_syuyou,69-01-189-n2_2_2_e_keihiteki_noukekkan,69-01-189-n2_2_2_o_noudoumyakuryu,69-01-189-n2_2_2_ka_gappeisyouno,69-01-190-n2_3_1_a_kaifukuki_rb,69-01-190-n2_3_1_i_kaigo_service,69-01-190-n2_3_1_u_kaigo_service,69-01-190-n2_3_1_e_iryou_socialworker,69-01-190-n2_3_1_o_gappeisyouno,69-01-190-n2_3_2_a_tiiki_rb,69-01-191-n2_4_a_ijikikanjya,69-01-191-n2_4_i_rb_senmon,69-01-191-n2_4_u_kaigo_service_conf,69-01-191-n2_4_e_ryouyoubyousyou,69-01-191-n2_4_o_byouinnaino&st=99-2,01-2&sjk=3&pref=03&lc=99&jc=MC-99&cp=%E5%B2%A9%E6%89%8B%E7%9C%8C%E7%9B%9B%E5%B2%A1%E5%B8%82_39.7019558_141.1543303&page=0&size=20&sortNo=2

このURLには多くのパラメータが含まれており、URLの正規化が施されていない事が分かります。

Webページの出力としては何ら問題なく機能していますが、SEOの観点からは大いに改善の余地があるURL構造です。

このURL構造および生成状況下では、同じ内容または極めて親しい内容のページが異なるURLで生成される為、潜在的な重複発生リスクを抱えることになります。

3. コンテンツの重複

サイト内で生成されるページ毎にインデックス制御を行っていない為、潜在的に重複コンテンツが発生しうるリスクがあります。

例えば、フィーチャーフォン(ガラケー)向けのページと、スマートフォン向けのページが別々に存在しています。これらのページは機能的には同じですが、デバイスごとに別のURLで提供されています。

このような重複コンテンツは、PLPの混乱の元となり、検索エンジンにとってどちらのページをインデックスすべきか判断できなくなります。

その結果、本来の代表ページがインデックスされず、順位の低下を引き起こす要因となり得ます。

これらの事象を防ぐため、本来大型のDB型サイトではcanonicalやnoindexを用いて代表ページ以外のインデックス登録を防ぎますが、ナビイではそのようなインデックス制御は見受けられませんでした。

改善策

1. クローラビリティの向上

クローラーが回遊しやすい内部リンク構造を作る必要があります。

例えば、ナビイで検索フォーム等に多く用いられているJavaScriptによるユーザー導線生成は控え、HTMLのアンカーリンクを使用して各ページにリンクを設置するのが望ましいでしょう。

また、適切なサイトマップを自動生成し、Googleに正しくURLを通知することも、取るべき施策の一つです。現在のサイトマップには別ドメインのURLが記載されているなどの改善余地があるため、現XMLサイトマップを修正します。

さらに、サイトマップをGoogle Search Consoleに登録し、Search Console上でインデックス登録の推移をモニタリングする運用体制を整えることも重要です。

2. URL構造の最適化

URLをシンプルで意味のある構造に変更することを提案します。

例えば、以下のようなURL構造が考えられます:

また、引数として指定する値も自由入力形式ではなく、固定値としてデータベースのテーブルを設計します。

例として以下のようなテーブル案が考えられます:

このURL構造設計とテーブル設計の2つを用いて、一覧ページおよび病院/薬局詳細ページを生成します。

例えば、岩手県仙台市(正しくは「岩手県盛岡市」)の神経内科であれば、/iwate/sendai/1034 といったシンプルなURLを生成できます。

URL構造設計で定義した型で生成されたURLはindex対象とし、自動的にcanonicalで代表URLを指定します。

逆に、URL構造設計で定義していないURLでページを生成した場合、例えば検索フォームで複数の条件を指定した場合は、動的パラメーターによってDBレコードを呼び出すようにしページ内容を表示しつつ、index対象から外すべくnoindexを自動出力します。

これらURL構造とindex制御分岐が連動する事で、非意図的な重複/不要インデックスの発生を自動的に防ぐことができます。

まとめ

ナビイは国民に有用な医療情報を提供するという重要な役割を担っています。しかし、現状ではSEOの課題が多く、その情報が必要な人々に十分に届いていないようにも見受けられます。

これらのSEO改善を行うことで、ナビの検索順位が向上し、より多くの人々に必要な医療情報を提供できるようになるでしょう。

なお、今回取り上げたSEO改善案は、本来行うべきSEO施策のごく一部に過ぎません。例えば、構造化データのマークアップやCore Web Vitals対応、内部リンクの最適化の改善など、まだまだ取り組むべき課題は多くあります。

SEOは継続的な取り組みが必要です。今回提案した改善策を実施した後も、定期的にサイトのパフォーマンスを確認し、さらなる最適化を行っていくことが重要です。

ナビイのSEO改善が進み、多くの国民に役立つ情報が届くようになることを私も望みます。そして、このような取り組みが他の公共サイトにも波及し、日本全体のウェブアクセシビリティが向上することを願っています。

※この文章は、YouTube動画をAIで書き起こし、記事化したものです。