2024年8月16日、Googleが新たなアルゴリズムアップデートの開始を発表しました。
当初は約1ヶ月かかると予想されていましたが、実際には9月4日に完了し、予想より早く終了しました。
このアップデートは、通常の2週間程度で完了するアップデートと比べて異例の長さでした。今回は、このアップデートの特徴と、様々な業界への影響について詳しく見ていきます。
アップデートの主な特徴
フィードバックを考慮したアップデート
今回のアップデートの最大の特徴は、Googleがウェブサイトオーナーからのフィードバックを考慮したことです。
これは過去10年間のSEO業界では初めての試みであり、非常に珍しい動きです。
Googleの発表によると、約1万2000件のフィードバックがあり、その中には1300ドメインの改善提案が含まれていたそうです。これらのフィードバックを元に、検索結果の改善が図られたとのことです。
小規模サイトと独立系サイトの評価
もう一つの大きな特徴は、小規模サイトや独立系サイトのオリジナルコンテンツをより適切に評価するという点です。
Googleは「小規模サイトや独立系も含むオリジナルのコンテンツも適切に評価する」と発表しました。
これにより、SEO業界では小規模サイトや独立系サイトの順位が上昇するのではないかという期待が高まりました。しかし、実際の影響を見ると、必ずしもすべての小規模サイトや独立系サイトが上昇したわけでは無いようです。
アップデート完了後の継続的な変動
今回のGoogleアルゴリズムアップデートの特筆すべき点の一つは、公式に完了が宣言された9月4日以降も、検索結果に大きな変動が続いていることです。
通常、アルゴリズムアップデートは完了後に安定期に入りますが、今回はそれとは異なる動きを見せています。
具体的には、9月24日頃に再び大きな変動が観測されました。この変動の規模は、アップデート期間中と同等、あるいはそれ以上の大きさでした。
例えば、ある検索順位変動測定ツールでは、9月24日に過去最高レベルの変動スコアを記録しました。これは、アルゴリズムアップデート期間中の変動をも上回る規模でした。
この継続的な変動は、様々な業界や検索クエリで観察されています。例えば、FX関連のキーワードでは、アップデート完了後に一度順位を回復したサイトが、9月後半に再び順位を落とすケースが見られました。
また、格安SIM関連のキーワードでも、9月中旬以降に新たな順位変動が発生し、それまでの回復傾向が反転するサイトも出てきました。
このような状況は、Googleが公式にアップデートの完了を宣言した後も、アルゴリズムの調整や微調整を継続して行っている可能性を示唆しています。
ダニー・サリバン氏のコメント
この状況について、Googleの検索部門広報担当であるダニー・サリバン氏が、今回のコアアルゴリズムアップデートに関するインタビューに答えています。
サリバン氏によると、今回のアップデートと今年3月に行われたアップデートの主な違いは、「小規模独立サイトをより適切に評価するための改善」にあるとのことです。
具体的には、「小規模で独立したサイトは、より適切に評価するように努めています」と述べています。
また、サリバン氏は昨年9月のヘルプフルコンテンツアップデートについても言及し、このアップデートの機能が現在のコアアルゴリズムに組み込まれていることを明らかにしました。つまり、ヘルプフルコンテンツアップデートは今後、単独でのアップデートとしては発表されず、コアアルゴリズムの一部として常に機能しているということです。
さらに、サリバン氏はフィードバックの重要性についても強調しました。
3月のアップデート後にGoogleがフィードバックフォームを公開したところ、約1万2000件のフィードバックが寄せられ、その中には1300のドメインに関する具体的な改善提案が含まれていたとのことです。Googleはこれらのフィードバックを「非常に有益」だったと評価しており、今回のアルゴリズム改善にも反映されているとしています。
特に注目すべき点として、サリバン氏は小規模パブリッシャーへの影響について言及しています。「小規模で独立したサイトは、より適切に評価するように努めていますが、完全な回復には時間がかかる可能性があります」と述べています。これは、昨年のヘルプフルコンテンツアップデートで大きく下落したサイトが、今回のアップデートで即座に完全回復するわけではないことを示唆しているのかもしれません。
サリバン氏は、「一度に回復するのではなく、徐々に改善していく可能性がある」と説明しています。これは、Googleが小規模サイトの評価を慎重に行っており、急激な変化を避けようとしていることを示唆しています。
これらのコメントは、今回のアップデートがシンプルな「ロールバック」ではなく、より複雑で段階的なプロセスであることを示唆しているのかもしれません。小規模サイトや独立系サイトの運営者にとっては、即時の劇的な改善を期待するのではなく、継続的な品質向上と長期的な視点が重要であることを示唆しています。
サリバン氏のコメントと、アップデート完了後も続く大きな変動を合わせて考えると、今回のアップデートは単一の変更ではなく、複数の要素が組み合わさった複雑なものであり、その影響は今後も継続して現れる可能性が高いと言えるでしょう。このため、サイト運営者は短期的な変動に一喜一憂するのではなく、長期的な視点でサイトの品質向上に取り組むことが重要です。
影響を受けた領域の分析
FX関連サイト
FX関連のキーワードで検索順位の変動を分析したところ、興味深い傾向が見られました。上昇したサイトの特徴としては、FXサービスを提供する事業者サイトや証券会社のサイトが挙げられます。
具体的には、FXを主要事業として運営している会社や、金融庁から正式に認可を受けている証券会社のサイトが順位を上げる傾向にありました。
これらのサイトは、FXに関する専門知識や信頼性の高い情報を提供しているため、Googleのアルゴリズムに評価されたのかもしれません。
また、カカクコム社が運営しているFX専用サイトが大きく上昇しました。このサイトは、元々カカクコム本体サイトのサブディレクトリ配下で運営されていましたが、2016年頃にサブドメインへ移行した形跡が見られます。
この特化サイトが、今回のコアアルゴリズムアップデートで上昇を見せています。
とはいえ、上昇幅は限定的であり、今年5月の流入数と同程度まで戻ったに近い上昇幅とも見ることができます。
一方、下落したサイトの特徴としては、企業サイトのサブディレクトリに設置されたメディアや、社団法人のドメインを借りたサイト、そしてドメイン評価を利用して短期的に順位を上げていたサイトが挙げられます。
特に注目すべきは、ドメイン評価を利用して短期的に順位を上げていたサイトが大きく下落したことです。例えば、あるサイトは企業ドメインの配下に移動した直後に順位が上昇しましたが、今回のアップデートで急落しました。
これらのサイトの中には、90%以上のキーワードで検索順位が圏外になったものもありました。具体的には、以前は上位表示されていたキーワードで完全に検索結果から消えてしまったケースが見られました。
しかし、一部のキーワードではまだ上位表示されているケースもあるため、必ずしもすべてが手動ペナルティを受けたわけではないようです。
例えば、FX関連の情報系のキーワードでは、まだ上位表示を維持しているサイトもありました。
格安SIM関連サイト
格安SIM関連のキーワードでも、大きな変動が見られました。
特に注目すべきは、昨年9月のヘルプフルコンテンツアップデートで大きく下落したサイトの一部が回復したことです。ある格安SIM比較サイトの例を見てみましょう。
このサイトは昨年9月のアップデートで流入数が80%減少しましたが、今回のアップデートで1年9ヶ月ぶりの流入数まで回復しました。ただし、ピーク時の約50%の流入数にとどまっています。
このサイトは、10年近く運営されている個人運営の比較サイトでした。サイトオーナーは自身の体験を元に、各格安SIMの特徴や使用感を詳細にレビューしていました。
興味深いのは、このサイトのコンテンツにほとんど変更がなかったにもかかわらず、順位が回復したことです。
これは、今回のアップデートが昨年のアルゴリズム変更の一部を元に戻す「ロールバック」的な要素を含んでいた可能性を示唆しているのかもしれません。つまり、昨年のアップデートで過度に評価を下げられてしまった質の高いコンテンツを、再度適切に評価しようとする動きがあったと考えられます。
しかし、注意が必要なのは、9月後半から再び順位が下がり始めているサイトも見られることです。
この事からも、コアアルゴリズムアップデートのロールアウトが完了後も、また順位が大きく変動し、アップデート期間中に上昇した順位が下がり戻しているケースも見受けられました。
ガジェット関連サイト
ガジェット関連のキーワードでは、大手ECサイト、自動生成型のデータベースサイト、そして個人運営の専門サイトなど、様々なタイプのウェブサイトに影響が見られました。この領域は特に競争が激しく、多くのサイトが影響を受けました。
まず、大手ECサイトの動向を見てみましょう。
大規模なデータベース型サイトの中には、30%以上も順位が下落したものもありました。例えば、ある大手キュレーション型DBサイトは、「スマートフォン ●●●」「タブレット ●●●」などのキーワードで大きく順位を下げました。
このサイトは、様々なカテゴリーの製品情報をデータベース化し、自動的にランキングページを生成していました。
これらのページは大量に自動生成されており、今回のアップデートでは、このような(自動生成)コンテンツの評価が変化した可能性があります。
これらのページは、サイト内の販売データやユーザーレビューを基に自動的に生成されていましたが、独自の付加価値が少ないと判断された可能性があります。
一方で、小規模な専門サイトや個人ブログの状況は複雑でした。当初、Googleの発表から、これらのサイトが優遇されるのではないかという期待がありました。しかし、実際には明確な上昇傾向は見られませんでした。
例えば、スマートフォンやタブレットに詳しい個人ブロガーが運営するレビューサイトは、詳細な製品レビューを投稿し続けていましたが、今回のアップデートでも大きな順位の変動は見られませんでした。
執筆者の実体験に基づく詳細な情報を提供していましたが、検索順位は横ばいでした。
これらの事例から、今回のアップデートでは、単に小規模や独立系というだけでサイトが優遇されるわけではないことが分かります。むしろ、コンテンツの質や関連性、そしてユーザーにとっての価値が重要視されているようです。
自動生成コンテンツや薄いコンテンツを持つサイトが不利になる一方で、ドメインの強さと質の高いコンテンツを兼ね備えたサイトが有利になる傾向が見られました。
前回のコアアルゴリズムアップデート解析でも「上昇サイト」として取り上げたあのコンテンツサイトは、今回のアップデートでも大きくヒットキーワード数を増やしています。
大手DB型サイトや小規模/特化型サイトが下がる中、UIUXにも丁寧に配慮しページ作りがなされているあの大手コンテンツサイトは、今回のコアアルゴリズムアップデートでも高い評価を得ている事が分かります。
小規模サイトにとっては、より一層のコンテンツの質の向上と、ユーザーにとって真に価値のある情報提供が求められていると言えるでしょう。
金融関連サイト
金融関連のキーワードでは、大手事業者サイト、比較サイト、ニュースサイト、そしてアフィリエイトサイトなど、様々なタイプのウェブサイトに影響が見られました。しかし、全体的に見ると、上位5位以内のドメインの顔ぶれにはそれほど大きな変化はありませんでした。
大手クレジットカード会社
大手金融機関のクレジットカード事業者サイトは、ほとんど影響を受けていません。
例えば、ある大手クレジットカード事業者のサイトは、ページ数が500以上あり、ドメインレーティング(DR)も高いのですが、このアップデートではほぼ無風でした。1位のキーワード数がわずかに増えた程度で、1位から5位の順位にほとんど変化は見られませんでした。
一方で、比較サイトやアフィリエイトサイトでは大きな変動が見られました。
クレカ比較ブログ
例えば、あるクレジットカード比較ブログのサイトは、2017年から2018年にかけて非常に強かったのですが、2020年以降はかなり順位を下げていました。このサイトは約600ページあり、約10年間運営されていましたが、今回のアップデートでも1位から3位のキーワード数が減少しました。
もし、小規模/特化型の優遇が見られる場合、これらサイトにも一定の上昇変動が見られるかと予想していましたが、YMYL度合いが強いこの金融領域では、その上昇傾向は見られませんでした。
企業ドメイン利用のアフィサイト
特筆すべきは、2020年5月のアルゴリズムアップデートでサブディレクトリを使って急上昇したSEO界で有名なサイトの動向です。
このサイトは過去4年間で何度も順位の上下を繰り返し、サイト内の構造やコンテンツを変更するなど様々な対応を行ってきました。約800ページあるこのサイトは、今回のアップデートでも大きな下落を受けているようです。
一時的にアルゴリズムに乗って上昇したサイトでしたが、毎回変化するアルゴリズムと、年々厳しくなるスパム行為への対処に影響を受けてか、今回のアップデートでも大きな下落を受けているようです。
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総じて、金融関連サイトにおいては、ドメイン評価が高く、一定の知名度等がある大手事業者サイトが安定して上位を維持する傾向が見られました。一方で、個人アフィリエイトサイトや小規模の特化サイトは引き続き苦戦している状況です。
また、このアップデートでは特定のドメインが急上昇するような劇的な変化は見られず、むしろ既存の上位サイトの順位が入れ替わる程度の変動が多かったようです。例えば、1位のサイトが3位になり、3位のサイトが2位になるといった具合です。
このように、金融関連サイトにおいては、大規模で信頼性の高いサイトが優位性を保ちつつ、比較サイトやアフィリエイトサイトでは変動が大きかったことが特徴と言えます。しかし、アップデートの影響は継続して観察される必要があり、今後も変動が続く可能性があることに注意が必要です。
アップデートの影響まとめ
今回のアップデートでは、必ずしもすべての小規模サイトや独立系サイトが優遇されたわけではありませんでした。一部の専門サイトは回復しましたが、検索結果の顔ぶれが大きく変わることはありませんでした。例えば、格安SIM比較サイトの一部が回復しましたが、ガジェット系の個人ブログなどは大きな変化が見られませんでした。
ドメイン評価の重要性は依然として高く、ドメイン評価の高いサイトは引き続き上位を維持する傾向がありました。一方で、短期的にドメイン評価を利用して順位を上げていたサイトは大きく下落しました。具体的には、企業サイトのサブディレクトリを利用したFXアフィリエイトサイトなどが大きく順位を下げました。
コンテンツ評価においては、自動生成型のコンテンツや薄いコンテンツを持つサイトが下落する傾向が見られました。大手ECサイトの自動生成ランキングページなども影響を受けました。しかし、コンテンツの質が高いと思われるサイトでも下落したケースがあり、評価基準の変化が示唆されます。
また、昨年9月のヘルプフルコンテンツアップデートで下落したサイトの一部が回復したことから、今回のアップデートには「ロールバック」的な要素があったと私には映りました。
注目すべき点として、アップデート完了後も大きな変動が続いており、結果が安定していない状況です。9月後半から再び順位が変動しているサイトも多く見られます。これは、Googleが継続的に微調整を行っている可能性を示唆していると見ることも出来ます。
※この文章は、YouTube動画をAIで書き起こし、記事化したものです。