先日、Googleから新しい発表がありました。3月6日にロールアウトされたスパムアップデートが、3月21日に完了したとのことです。
今回は、そのスパムアップデートの影響について、3月24日時点での状況をお伝えします。
3つの「不正使用」をスパムポリシーに追加
今回のスパムアップデートと同時に、3つの「不正使用」がスパムポリシーに追加されました。サイト評判、期限切れドメイン、スケールコンテンツの不正使用です。
このうち、サイト評判の不正使用は2024年5月5日から執行されます。したがって、3月6日から21日の間に発生した変動影響は、期限切れドメインとスケールコンテンツの不正使用の2つが先んじて考慮された新スパムアルゴリズムによるものと想定されます。
スパムアップデートの影響を受けたサイト
実際に、この期間中に流入数が大幅に減少したサイトが多数確認されました。
中には流入数が半減したサイトもあれば、ゼロになってしまったサイトもありました。では、具体的にどのようなサイトが影響を受けたのでしょうか。
影響を受けたサイトに共通していたのは、コンテンツの質の低さです。キーワードを詰め込んだだけの薄いコンテンツや、他サイトから盗用したコンテンツ、AIによる自動生成が疑われるコンテンツなどです。また、中古ドメインを使って、以前の評判を悪用しているサイトも見られました。
一方で、コンテンツの質が高いと思われるサイトが下落したケースもありました。これについては後述します。
中古ドメインの不正使用が疑われるサイト
スパムアップデートの影響が顕著だったのは、スケールコンテンツや盗用コンテンツ、中古ドメインの不正使用が疑われるサイトです。
これらのサイトは、手動ペナルティを受けてインデックスから完全に消える場合がありました。
例えば、下記はとあるトレンドブログサイトのアクセス推移を表したグラフです。
このサイトのドメインは約10年以上前から運営されており、もともとは企業のブランドサイトでした。
しかし、昨年から別のオーナーに渡り、低品質なトレンドブログに切り替わりました。
別のオーナーにドメインが渡って以降、サイト内のページ品質も低下しました。
企業ブランドサイトとして運営された時のテーマとは全く異なり、より検索流入が獲得できる芸能人系のトレンドブログ記事が大量に詰め込まれていました。
キーワードを詰め込んだ薄いコンテンツばかりで、元々のドメインの評判を悪用していたことから、今回の手動対策によってインデックスごと消されたと想定されます。
盗用、スケールコンテンツの不正使用
下記は、とある歴史系のコンテンツサイトのアクセス推移を表したグラフです。
このサイトも同じく、3月のスパムアップデート以降、手動対策によってインデックスから消されたものと想定されます。
とわいえ、サイトそのものに大きな欠点があるようにも見られませんでした。
各記事ページに掲載されているコンテンツも読み応えがあり、内容やオリジナリティも高いように見受けられました。
念の為、AIによって執筆されたコンテンツか否かを確認すべく、AI検出ツールで確認しましたが、AI執筆の可能性もほぼゼロでした。
・コンテンツの質も高い
・AI執筆の可能性も低い
・中古ドメイン不正使用もなさそう
こうなると、なぜこのサイトがインデックスから消されるほどの重い処分を受けるのか、なかなか説明が付きづらい状態でした。
念の為、他サイトからの盗用(コピペ)を確認したところ、コンテンツの87%が他サイトから盗用されていることが判明。
あらゆるサイトからコンテンツを部分抜粋し、記事を作成していたようです。
DMCAの申し立ても受けていた事からGoogleの知るところとなり、手動対策という重い処分を受けたのだと考えられます。
コンテンツ質が低いサイトが下落
手動ペナルティほどではないものの、コンテンツの質が低いサイトが下落調整を受けるケースもありました。
以下は、とあるコンテンツ型の比較サイトのアクセス推移を表したグラフです。
3月6日以降、アクセス数を急激に落としている事が分かります。
ページ内容を確認したところ、その内容が極めて普遍的であり、必ずしも検索意図を満たしきっているとは言えないものばかりでした。
見出しに「○○する方法」と書いておきながら、中身は箇条書きで表面的な情報を羅列しているだけでした。このようなコンテンツでは、ユーザーの検索意図を満たせていないと判断され、今回のアルゴリズム変更で、検索順位が下がったと考えられます。
また、このコンテンツの作り(型)から、AIによるコンテンツ生成が疑われる可能性もあります。
実際に、このページのコンテンツをAI検出ツールでチェックしたところ、「61%がAIによって書かれた可能性がある」と表示されました。
AIが生成するコンテンツの特徴として「定型コンテンツ」があり、その型と類似すると「AI生成の可能性」として検出されてしまうようです。
一見読みやすい文章でも、型に沿って書かれ、専門知識に基づいた有用な情報が提供されていなければ、AI生成の疑いがかけられるのでしょう。
ただし、これらのサイトの下落が、スパムアップデートによるものなのか、同時期に実施されたヘルプフルコンテンツアップデートによるものなのかは判断が難しいところです。
いずれにせよ、コンテンツ品質の低さが手動対策のいち要因につながったことは間違いなさそうです。
コンテンツ質が高いサイトも下落!?
興味深いのは、コンテンツの質が高いと思われるサイトが下落したケースもあったことです。
以下は、とあるコンテンツサイトのアクセス推移グラフです。
このサイトは専門的な知識を持ったライターが書いた良質な記事を掲載していました。記事の内容も充実しており、オリジナルの画像も豊富に使われていました。
AIによる自動生成や他サイト盗用の痕跡も確認されず、完全にオリジナルで書かれているようです。
また、私が読んだ限りコンテンツの質も高く、検索意図も満たせるページだと見受けました。
さらに、このコンテンツを3つのAI(Gemini、GPT-4、Claude3)にも評価してもらいましたが、3つとも「ページコンテンツ質は高い」と評価しました。
・コンテンツは完全オリジナルで作成
・検索意図も満たしており、分かりやすく、ユーザーの課題解決に直結するページ品質
・スパムポリシー違反の痕跡も見当たらない
・YMYL領域でも無く、EEATの欠如も見当たらない
以上、このようなサイトがなぜ下落したのか….その理由ははっきりしませんが、一つの可能性としては、ユーザー行動が関係しているのかもしれません。
つまり、コンテンツは良さそうに見えても、肝心のユーザーが満足していない、あるいは役に立つ情報が不足しているために、滞在時間が短かったり、直帰率が高かったりするのです。
こうしたユーザー反応や体験の悪さが、結果的にサイト評価を下げる因子になったのかもしれません。
また、この様な「一見すると、非の打ち所がないサイト」が急落しているケースが複数確認されました。それらサイトの多くが、昨年の秋頃に急落し、今回のアップデート前期(3月6日~21日頃)でも急落するなど、2段階の下落を見せています。
もしかしたら、これら2段階で下落を見せているサイトには、表層的なページ品質以外の要素で低評価を受けたのかもしれません。その一つに、ユーザー行動も含まれている可能性も考えられるでしょう。
ユーザー行動と検索順位について
一見共通点が見られないサイトでも同様の現象が起きているのは、ユーザー行動が関係している可能性があるのかもしれません。
ページ品質は良さそうに見えても、ユーザーが満足していないサイトは行動データ上でその差が表れ、アルゴリズムによって評価を押し下げているのかもしれません。
滞在時間が極端に短い、再検索が走ってしまうなど、ユーザー体験の悪さを示すデータは、サイトの評価を大きく左右する可能性も考えられます。
これを確かめるため、今後はクリックデータやサードパーティデータなどを活用し、ユーザー行動と検索順位の相関性について調査していきたいと思います。
4月上旬にはアップデートが完全に終了するはずなので、そのタイミングで改めて分析結果をシェアできればと考えています。サイト運営者の方々も、ユーザー目線でコンテンツを改善し、ユーザー体験の向上に努めていただければと思います。
※この文章は、YouTube動画をAIで書き起こし、記事化したものです。