ブラックハットSEOから理解するGoogleアルゴリズム

SERPs(検索結果)をモニタリングするのが日課な私にとって、様々なSEOの手法を目にします。

先日のブログ「SEOを用いた詐欺「SEOポイズニング」の事例 」(リンク要修正)もその過程で発見しました。

多くは検索品質ガイドラインに則したWebサイトが上位の検索順位を獲得しており、コンテンツの企画や作り方、UIなどSEO的にも特徴(効果があると思われる)が見られるものをSEO手法の一次情報として参考にしています。

その中、本来のGoogleのガイドラインでは評価されないはずのWebページが上位順位を獲得しているケースがあります。

それらWebサイトの一部はブラックハットな手法を用いて上位の検索順位を獲得しており、Webサイトを調べていく過程でGoogleアルゴリズムの核となる部分を垣間見ることができます。

順当なSEOはコンテンツの内容や企画、ページ構成の改良やタイトル文の改善などGoogleとアクセスするユーザーの両方を考慮して、より良い情報を適切な形で届けることを前提としてSEOを施しています。

これに対し、ブラックハットSEOは全く関係の無いWebサイトをクラッキングし、クッションページを設置したり、期限切れのドメインを取得しコンテンツを設置した上で以前獲得していたキーワード流入を再度取得する、などの手法が挙げられます。

もちろん、これらブラックハットSEOはGoogleのガイドラインに違反していますし、Webサイトのクラッキング自体は不正アクセス禁止法などの法律に違反します。したがって、その手法自体は参考にする事はありませんが、「Googleのアルゴリズム」を別の角度から研究・理解するには、他者のブラックハットSEOの手法も分析する事があります。

ブラックハットとホワイトハットの違い

では、ホワイトハットSEOとブラックハットSEOの違いとは何でしょうか。

 順当なSEOの場合、その内容を大きく2つで表現するのであれば以下の通りです:

  1. GoogleがWebサイトの内容を正しく出来るようにする
  2. ユーザーが欲している情報を適切な形で提供する

これに対し、ブラックハットSEOは順位決定アルゴリズムのみを集中的に狙って順位上昇を図る傾向にあります。このため、プライベートブログネットワークなどに代表される人工的な外部リンク設置や中古のドメイン評価の再利用などが挙げられます。

参考 Googleの検索結果を汚染する「プライベートブログネットワーク」とは?Gigazine

当然、事業を全うに行っている企業サイトにとってブラックハットSEOの手法を選択肢として考える事は無く、ホワイトハットSEOの手法もブラックハットSEOerが利用する事はありません。

多くのケースで、ブラックハットSEOは詐欺サイトへの送客やMade for Adsenseへのトラフィック獲得を目的として順位上昇を図り、短期的に上昇→手動対策→サイト閉鎖を繰り返しています。

順位上昇と維持が短命なケース大半ですが、同一人物のWebサイトと思われるサイトが何回も上昇しているケースもあり、ある種の再現性を見いだしているブラックハットSEOerも存在していると想定されます。

なぜブラックハットSEOを観察しているのか?

本来、採用する事が無いブラックハットSEO手法を観察する理由は、あるケースにおいてGoogleのアルゴリズムを一次情報で理解できる事があるからです。

Googleのアルゴリズムは完全非公開な為、SEOの見解はときに様々な解釈や憶測で語られる事があります。

当然アルゴリズムを知っているのはごく一部のGoogleエンジニアであり、外部者は予測するしかありません。

その為、Googleの基本思想を拡大解釈し、あたかもそれがアルゴリズムであるかのような考えが語られているケースを耳にします。

例えば「重複コンテンツ」は良い例です。確かに重複コンテンツはGoogleも「整理」を推奨しています。しかしながら、この「整理」を「重複コンテンツは非常に悪影響」とまで解釈し、実証が無い中で事実として認識されているケースを目にします。

本来のSEOはアルゴリズムを欺くことではなく、ユーザーにとって最善の情報を適切な形で届ける事が最もな近道ではあるものの、複数のSEO施策の優先順位を決める際には「どれが最も効果があるのか」という論になりがちであり、その時に話に出るのが「これってGoogleはどれくらい重視していますか」という点です。

こういった議題の際、担当者やコンサルタントの個人的な解釈で考えてしまい、事実ではないにもかかわらず、それらしく聞こえるがゆえに事実っぽく捉えられてしまうケースがあります。

非公開なGoogleアルゴリズムを考える際は、何が事実で、何が解釈や見解なのかを明確に分離して考え、その上で意思決定するのが望ましいでしょう。

ただ、一次情報を知っているか・知らないかで、その後の解釈の精度は大きく異なります。SEOコンサルタントとして、解釈や見解の精度を高める為にも一次情報を収集する事を私は重視しており、その一環としてブラックハットSEOerの手法を調査する事があります。

セキュリティ業界であえて攻撃が出来るような脆弱なサーバーを設置し、クラッカー(ハッカー)の攻撃を受けて、そのハッキング手法を観察・集める「ハニーポット」もその一例でしょう。

注意

当ブログ記事で取り上げているブラックハットSEOから理解するGoogleアルゴリズムですが、あくまでも「ブラックハットSEOを見つけた時には調査をしてみて、なぜ上昇したかを分析・予想してみる」という事であって、ブラックハットSEOを奨励しているわけではありません。また、このアルゴリズム理解を目的とした分析はブラックハットSEOだけを対象とする必要性は無く、自社サイトでの検証や他サイトの調査でも分析する事ができます。ただし、手法の大胆さや数としてはブラックハットSEOのケースが多い為、ブラックハットSEO「も」調査の対象にしている、という意味になります。

ブラックハットSEOerは様々な手法を手を変え品を変え実証しており、その手法から現行のアルゴリズムをより事実ベースで把握する事があります。

例えば、先日当ブログで取り上げた「SEOポイズニング」もその一例です。

このSEOポイズニングで注目した点は、クッションページに掲載していたコンテンツが他サイトからの盗用コンテンツであり、なおかつキーワードを陳列しただけの所謂低品質コンテンツそのものでした。

方針の解釈からこのクッションページコンテンツを見た場合「Googleは評価しない」と捉えられるものであり、コンサルティングしているWebサイトに近しいコンテンツが遭った場合はすぐさま改善(コンテンツの差し替えやnoindex、削除など)を提案するようなページです。

しかし、実際にはこのワードサラダ的なページで順位上昇していました。この事実から、以下を考察することができます。

一次情報が出てくる事で、今までベースとして捉えていた基本概念が否定され、より深くSEOやアルゴリズムを考えるキッカケとなります。

このようにして、ユーザーの意図やGoogleの基本方針と合わせて現行のアルゴリズム性能や技術発展(AI)も読み解く事で、より正確な意思決定や判断が出来るようになると考えます。

ブラックハットSEOを見つけたら

法律に抵触する手法から、Googleのアルゴリズムの裏をかいた手法まで様々な方法が存在します。

どれもプラットフォームを利用するユーザーにとってはデメリットになる為、発見した場合は下記から通報します。

参考 不正行為や法的な問題を報告するGoogleグループヘルプ