Search Generative Experience (SGE) が検索結果に与える影響はどれほどのものなのか、5,860個のキーワードを分析し、SEO順位とSGE枠の表示パターンの違い、またSGE枠が頻繁に表示されるキーワードの特性を調査しました。
SGE枠のリンク
現在、Googleの検索結果にはSGE枠が試験的に表示されています。
このSGE枠にはリンク(URL)が表示されており、自然検索枠の上位リンクとは異なるリンクが表示されるケースもあるようです。
これらSGE枠に表示されるURL(リンク)がどのようなアルゴリズムで選別されているのか、自然検索上位のURLとSGE枠のURLは異なるのか?これら疑問を抱えていましたので、今回は5,860個のキーワードを調査し、SGE枠と自然検索枠との関連性を調査しました。
SGE枠の順位データを取得
今回調査にあたってSGE枠のURLと順位データが必要になり、このデータ取得に苦戦しました。
まず、SGE枠を表示させるためには、Googleアカウントにログインしている必要があります。また、SGE枠の表示は検索後数秒遅れて現れるため、その挙動を待つ必要があります。
さらに、SGE枠に表示されるリンクURLを確認するには「もっと見る」をクリックしなければなりません。
これでは、従来の順位計測ツールでは測定できませんでした。
そこで今回は、Excelのマクロを利用し、ブラウザの自動化ツールであるSeleniumを操作する事で実際のユーザー挙動を再現しました。これにより、SGEに表示されるURLを取得しました。
この手法で取得したデータをもとに解析しました。
尚、このデータは私が保有するとあるGoogleアカウントで表示された検索結果データになります。データにはパーソナライズがかかっている場合もありますので、その点ご理解ください。
全キーワードの内、何個SGEが表示される?
今回調査した5,860個のキーワードの内、何個のキーワードでSGEが表示されたでしょうか?
結果は、1,347個のキーワードでSGE枠が表示されていました。
これは全キーワードの23%に該当し、約2割の確率でSGEをユーザーが見る状態にあると見ることも出来ます。
クエリタイプ別にSGEの表示率に違いはあるのか?
次に、SGE枠の表示は特定のキーワードに偏っているのかを調査しました。
調査キーワードにGPT-4でクエリタイプ(Do / Know / Go / Buy)を付与し、クエリタイプごとのSGE表示数を集計しました。
意外だったのが、Buyクエリ(購入意欲が高いキーワード)にもSGEが一定数表示された点です。
私の予想では、Knowクエリ(情報収集系キーワード)で多く表示され、Buyクエリなどではほとんど表示されないと想定していました。しかし、調査の結果、約14%のBuyクエリでSGE枠の表示が確認されました。
この事からも、コンバージョン率が高くSEOの競争も激しいBuyクエリにおいてもSGEが表示され、SEO枠よりも上部にURLが表示される事もある、という状況が確認できました。
では、具体的にどのようなワードでSGE枠が表示されていたのか見ていきましょう。
Buyクエリ
Buyクエリの例でいうと「ダーマペン おすすめ」や「ネット銀行 おすすめ」、「トイレ交換 おすすめ業者」、「プラチナカード」など、具体的に購入に繋がるコンバージョンに直結するようなキーワードでも、SGE枠が表示されることが確認できました。
これらのキーワードで検索を行うと、SGE枠が出現し、その中にはリンクURLも表示されます。
Knowクエリ
情報収集系クエリである「Knowクエリ」では、他のクエリタイプよりも多くの割合でSGE枠が表示されていました。
例えば「19万円 手取り」や「ADP 雇用統計」などが挙げられます。
実際にこれらワードで検索すると、検索に対する回答そのものがSGE枠に表示されます。
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以上、これらの結果から、SGE枠が表示されるキーワードは情報収集関連のキーワードに偏らず、Buyクエリなどコンバージョンに直接寄与するキーワードでもSGE枠の表示が確認されました。
SGE枠のリンクは自然検索でも上位か?
SGE枠に表示されるリンクと、そのリンクのSEO順位にどのような関係があるのか調査してみました。
今回のデータでは、SGE枠に表示されるURL(右枠の3URLのみ)が自然検索枠の1位~10位に55%の割合でランクインしている事がわかりました。
つまり、SGE枠に表示されるURLは、自然検索枠(SEO)でも上位に位置している確率が高い事を意味します。
例えば「脂肪吸引 おすすめ」のSGE枠に表示されるURLは、自然検索枠でも1位を獲得している事がわかります。
しかし、全てが全てこのパターンに当てはまるわけではありません。
例えば、あるクリニックのURLがSGE枠で表示されているにもかかわらず、SEO上では20位以下にランクしているケースも存在します。
これは、SGE枠で表示されるURLが必ずしもSEO上の上位にランクしているわけではないことを示しています。
ただし、全体を通して見た場合、SGE枠で表示されるURLは自然検索枠でも上位に位置することが多いという結果が得られました。
とわいえ、「自然検索で上位を獲得 = SGE枠にも表示される」を証明した訳ではありません。あくまでも相関は見られただけで、アルゴリズムそのものは別のものが採用されている可能性も考えられます。
尚、欧米圏の調査レポート「Google SGEリンクの94%はオーガニック検索結果とは異なることが研究で判明」では、SGEのリンクの93.8%は、自然検索枠に表示されるURLとは異なるURLが表示されていたとの事でした。
このレポートによると、SGE枠に表示されるリンクは平均して10.4個であり、それらリンクは自然検索枠の1位~10位のURLとは異なるものが表示されるとの事でした。(レポート:Research Study – The Impact of Google’s Search Generative Experience on organic rankings )
概要ボタンを含めるとSGE出現可能枠は50%
キーワードによってはSGEは表示されないものの、検索結果ページ上に「AIによる概要を生成しますか?」というボタンが表示されます。
ユーザーがこのボタンをクリックすることで、通常のSGEが表示されます。
つまり、検索キーワードによってはSGE枠を表示できるものの、その表示をユーザーに尋ねるキーワードもあります。
今回の調査では、5,860のキーワードのうち1,430個のキーワードでこの「概要生成ボタン」が表示されていました。
SGEが直接表示される1,347個のキーワードと合わせると、実に47%に当たる約2,777個のクエリが事実上SGEを表示できるキーワードである事となります。
以上のデータから、Googleは半数近くの検索キーワードでAIによる回答(SGE枠)を表示できる状態にあると想定されます。
もしSGE枠が本番適用された際、ユーザーの検索行動そのものを大きく変え、Webサイトトラフィックにも大きな影響をもたらすかもしれません。
まとめ
今回分析した5,860個のキーワードのうち、約23%でSGE枠が表示されていることが明らかになりました。もっと興味深いことに、これらのキーワードの約47%においては、AIによる生成が可能な状態であることも確認されました。このことから、検索エンジンにおけるAIの活用範囲が広がりつつあることが示唆されています。
さらに、SGE枠に表示されるURLは、自然検索枠の1位~10位に約55%の確率で表示されることがわかりました。
また、SGE枠が情報収集を目的としたKnowクエリ以外にも購入意欲の高いBuyクエリやDoクエリでも表示され、幅広いクエリで表示されることも確認できました。
今回調査に用いたデータは SGE_Research_Data_20240128.xlsx からダウンロードいただけます。(こちらからログインしていただき、その上でダウンロードしてください)
※この文章は、YouTube動画をAIで書き起こし、要約したものです。