今回は、SEO業界で賛否両論を呼ぶ「共起語」について解説します。
- そもそも共起語とは何か
- 共起語はSEOの順位上昇に本当に効果があるのか
- 本来あるべき共起語の正しい使い方
の3点について説明します。
1. 共起語とは
まず、共起語とは何なのか説明します。
読んで字の如く「共に起きる言葉」、これが共起語です。メインのキーワードとともに出現するキーワードのことを、共起語と呼びます。
よりイメージしやすいように具体的に説明すると、例えば「糖質制限ダイエット」について書かれている文章があるとします。
その文章の中には
- 「痩せたい」
- 「高脂質食」
- 「糖質」
- 「1日50グラム」
- 「難消化性デキストリン」
といったキーワードが一緒に出現しています。
つまり、「糖質制限ダイエット」をメインキーワードとした時に、共に出現する「50g」「高脂質食」「人口甘味料」といったキーワードが共起語になります。
2. 共起語はSEOの順位上昇に影響があるか
共起語とSEOについてのよくある誤った考え方として、
- 共起語を入れると順位が上がります
- 順位が下がったのは共起語の網羅率が低いからです
という声をよく聞きます。しかしこれは全て誤った考えです。
共起語を入れても上がらないものは上がりませんし、共起語を入れてなくても上がるものは上がります。ですので、共起語はSEOの上昇に直接的な効果や影響はありません。
SEOで順位を上げる方法
共起後がSEOの上昇に影響を与えないのであれば、どうすればSEOで順位を上げることができるのでしょうか?
それは「検索意図に答える」、この1点だけです。これがSEOで順位を上げるために最も大切な考え方になります。
どうして検索意図に答えれば順位が上がるのか?それを紐解くと、実はGoogleのお金の稼ぎ方に直結しています。
Googleの収益と検索順位
Google はどこからお金を稼いでいるかいうと、基本的に広告です。皆さんも検索するとよく広告が出てきますよね。
これを検索連動型広告といいます。この検索連動型広告は、クリック数に伴って売上が google に入ります。ですから多くの人がこの広告をクリックをすればするほど、 google に売上が入る仕組みになっています。
では、広告をクリックしてもらうにはどうしたらいいのか?
基本的には、Googleを使ってくれるユーザーさんの数を増やし、その数を維持しなければいけません。
使ってもらう回数を増やし維持するためには、常にユーザーさんから「Googleって便利な検索エンジンだな」「使える検索エンジンだな」と思ってもらう必要があります。
Googleに評価されるコンテンツとは
検索したときに自分が欲しい答えが常に返ってくる検索エンジンでないと「使えるな」と思ってもらえません。
ということは、「検索意図に答える=ユーザーに応える」ということです。
ユーザーに答えれば答えるほど、ユーザーはGoogleを便利なツールだと思ってくれるので、毎日使ってくれるわけですね。ユーザーが毎日使ってくれればGoogleの収益が安定的に上る、維持できる形になります。
従ってGoogleは「検索意図に応えたい」という考えを基本的に持っています。
そうすると、Googleはキーワードに対して答えを持っているコンテンツを評価する流れになりますので、結果的に「検索意図に答えればGoogleに評価される=順位が上がる」という仕組みになっています。これが基本的な考え方です。
より大切な考え方として、検索意図に答えるということはGoogleの方針に合わせる、すなわちユーザーの方向を向くことなので、基本的にユーザーに答えることが、順位を上げるための最も近道だと言えます。
検索意図に答える、具体的事例
では、検索について、よりイメージしやすいように具体的な事例で説明します。
例えば
- 「賃貸 退去」
というキーワードで検索するユーザーさんは、どういう意図を持っているのか紐解いていきます。
賃貸を出る、という内容を検索しているので、おそらく引越しのことを考えている、例えば「引越しのタイミング」「引っ越し屋さん」を探している方が検索している可能性も考えられます。
ただ「退去」という比較的強いキーワードを使っているので、少し別の悩みがあるのではないかとも考えられます。例えば退去費用で悩まれている方、払いたくないなぁとか、どれぐらいかかるんだろうと悩んでいるのかもしれません。
もしくは、退去に際して、例えば火災保険を解約しないといけない、提出届出さないといけないので、面倒だなとか、やり方調べないと、と思っている方かもしれません。
あるいは、これら全部含めて退去する時のやり方やto doリスト一覧を探している方かもしれません。
このように「賃貸 退去」という1つの検索クエリでも、様々な検索意図やニーズがあることがお分かりいただけたと思います。
検索クエリから、様々な意図やニーズを解析
実際にビッグデータで解析した時に、「賃貸 退去」が持つ意味を調べてみましょう。
キーワードマップいうツールで、ニーズマップというものを使って「賃貸 退去」というキーワードに潜むニーズを可視化したものです。
ズームアップして見ると、時期や情報、ハウツー、住宅関連、そして一番大きいパイが費用です。やはり費用関連のニーズがあり、知りたいという要望が強いということです。
では、この費用の部分を深堀してみると、「賃貸 退去 費用」、「賃貸 退去 費用 相場」、「賃貸 退去 費用 ローン」といったキーワードで検索されていることが分かります。
ざっと出てくるものの中には、「費用 2年」「費用 30年」というように年数ごとに検索されています。つまり4年間住んでいた場合の退去費はいくらなのかというように、年数ごとに検索する方がいることが分かります。
このように、費用関連の検索ニーズというのは、金額感を知りたいという方もいれば、年数ごとの費用を知りたいと思っている方もいる、ということがこの図から分かります。
少し別の軸、例えば時期軸に関しては、「退去3月」「退去 4月」や、「退去通知期間」「退去いつまで」「いつ言う」などのワードが出てきます。
つまり賃貸退去の時期関連では、3月4月に退去する際は、いつまでに通知すればいいか知りたいというニーズが分かってきます。
別の軸で見ると、情報やハウツーの中では、例えば「退去 ルール」というのは情報の中にあります。また「退去 ランキング」という退去理由を知りたいというもの、「退去のやり方」とか「退去の手順」「コツ」といったキーワードで検索する方もいます。
「賃貸 退去」の中には退去理由や、退去ルール、やり方や手順、コツ、タイミングを知りたいというニーズがあることが分かりました。
このように「賃貸 退去」という1つの検索クエリを取ってもこれだけニーズがあるので、これらをしっかり1つのコンテンツで網羅し、Googleの方向性であるユーザーに答えるコンテンツを作る必要があります。
検索ニーズを網羅したコンテンツを計画する
1つのキーワードに対して多数存在する検索ニーズをしっかり網羅していかないと、順位は上がりません。ですのでSEOを考慮する、すなわちユーザーに応えるためには、検索するニーズ、つまりその情報を求めているきっかけとなったたものをちゃんと理解してコンテンツを計画していく必要があります。
ただこれだけですと他社とそこまで差別化ができず、ほぼ同じコンテンツを作ってしまうことになります。
ですのでプラス
- 自社の強み
- 自分が伝えたいメッセージ
もコンテンツに入れることによってSEO順位が上がり、集客ができます。他社にはない自社の強みなどもコンテンツ内に入り、営業的なクロージングも可能です。
結果として、マーケティングの成果、すなわち売上やコンバージョンを出すことができます。やはりSEOを考慮するためには、まず検索ニーズをしっかりと抑えるということが、最も重要なことです。
3. 本来あるべき共起語の正しい使い方
検索ニーズを理解しましょうというお話をするのですが、「私はもう現場で営業経験があり、お客さんが何を求めているかよく知っています」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
確かに実際にお客様に接していれば、お客様の声は常に感じ取れると思いますが、検索するユーザーのニーズは、しっかりと網羅する必要があるのです。
できる限り多くの方のニーズに答えられるコンテンツでないと結果として順位が上がりません。また専門家であっても、人間ですから抜けや漏れはあります。
私もSEOの専門家としてお仕事させていただいてますし、例えばコンテンツSEOのやり方についてコンテンツを書いてくださいという執筆依頼がありましたら、一生懸命検索意図も網羅してコンテンツを描きます。
ただやはり私専門家でも人間ですから抜け漏れものもありますし、忘れている部分もあるでしょう。
自分が現場に携わっていて一番よく知っていると考えていたとしても大事なことが抜け漏れてしまうのは、人間なので仕方ないことです。
共起語は重要なテーマの抜け漏れがないかのチェックに利用する
評価されている文章と自分がこれから公開しようとしている文章を、共起語というツールを使って比較し、自分が書いたコンテンツの中に重要なテーマの抜け漏れが無いかどうか調べる際に、初めて共起語を使います。
共起語ツールは、基本的にメインキーワードで上位に上がっているコンテンツの中でよく出現するキーワードを抽出してくれています。
ですから、この中で抜け漏れがないかを調べると、Googleの方向性に合致するコンテンツの中で重要テーマの抜け漏れを確認することができます。つまり、ユーザーが知りたいニーズを網羅しきった形でコンテンツを公開することができます。
そういう意味で、共起語は、自分が書いてるコンテンツで重要な抜け漏れがないかを確認する際に使うことができます。
ですから、共起語を入れる入れないという話ではありません。
ここまでで、共起語の正しい使い方と正しい理解をしていただけたと思います。
共起語の具体的な活用方法
では実際に、どのようにコンテンツSEOに共起語を活用するべきなのか、具体的な例で説明していきます。
ツールを利用して共起語を抽出
上の画像は、キーワードマップという共起語ツールの中でキーワード
- 「コーヒー 淹れ方」
の共起語を抽出した画面です。
コーヒー淹れ方の共起語として、
- ドリッパー
- ペーパーフィルター
- コーヒー豆
- サーバー
- 温度
といったものが出ています。
確かに、「コーヒー 淹れ方」というキーワードから鑑みると。「ペーパーフィルター」「温度」というのは関連性がありそうだと感じられると思います。
執筆したコンテンツに共起語が含まれているかチェックする
この共起語ツール中で共起語含有チェックというボタンがありますので、これをクリックします。これをクリックすると自分がこれから公開しようとしている文章を入れる枠が出てきますので、ここに文章を入れて、共起語の抜け漏れがないかチェックすることができます。
今回この中に「コーヒー 淹れ方」で検索した際20位以下に出てくるコンテンツの文章を入れて確認しました。
チェックをすると、このキーワードマップで抽出した共起語141個のうち、このコンテンツには30個の共起語しか入っていません。パーセンテージですと21%です。
入ってない共起語を見ていくと、
- ペーパーフィルター
- コーヒー豆
などが入っていません。
「コーヒー 淹れ方」で検索するユーザーさんに対し、コーヒー豆について一切語らないというのは、重要なテーマが抜けていると感じると思います。
「コーヒー 淹れ方」でしっかりと書いているつもりなんだけれども、自分が意図しないところで抜け漏れが発生してしまうというのは仕方のないことですので、このように確認していきます。
このコンテンツの中で抜け漏れのあるキーワードについて、さらに調べると、
- 焙煎
- 中煎り
- サイフォン
といった言葉が出てきます。
私個人としては、これらの言葉は一般的ではないなと感じます。すごくこだわりのある方が知りたいような内容で、これは抜け漏れがあっても仕方がないです。これも重要だなと思えば、加筆を考えられます。
別の共起語を見て見ると、
- 苦味
- 器具
- 沸騰
- 時間
といったキーワードの抜けが分かります。
おそらく、「コーヒー 淹れ方」を自分が検索する場合は、方法を調べるわけですから、ある程度こだわりがあると思います。
その場合、沸騰時間はどれくらいあればいいかな、苦味をあえて出す方法は、苦味をできるだけ抑えるにはどうすればいいか、ということ知りたいからこそコーヒーを自分で入れようと思うわけです。
となると、「コーヒー 淹れ方」というキーワードから考えて、「沸騰」とか「時間」について語られてないということは、結構重要な抜け漏れが発生しているのではないかと思います。私はコーヒーについて素人ですが、そのように感じることができます。
さらに見ていくと、
- アイスコーヒー
- エスプレッソ
についてのテーマも一切言及が無いことが分かります。
「コーヒー 淹れ方」と検索する方は、ホットコーヒーの淹れ方だけを探しているわけではないですよね。例えば、夏に検索されている方であれば、アイスコーヒーの淹れ方を調べているかもしれませんし、あるいはエスプレッソの入れ方を調べたい方もいるわけです。
やはり「コーヒー 淹れ方」というのは結構テーマが広いので、ホットコーヒーの入れ方、アイスコーヒーの入れ方、エスプレッソの入れ方も書いて欲しいなと、素人ながら思います。
しかし、この記事には残念ながら記述がなく、結構重要なテーマの抜け漏れが発生していたことが分かりました。
検索順位を上げるには幅広い検索ニーズに答える必要がある
先ほどご説明した通り、検索順位に応えるためには色々なニーズに答えていかなければいけません。
「コーヒー 淹れ方」の共起語から見て、すごくこだわっている方向けの「焙煎」や「中煎り」というテーマも必要だと分かりましたし、さらに先ほど調べたこのコンテンツに関しては、おそらく重要なキーワードである「苦味」「器具」「沸騰」「時間」「アイスコーヒー」「エスプレッソ」について言及がされていなかったことが分かりました。
ということは、このコンテンツは、「コーヒー 入れ方」の初心者の方に対しても答えられてないと考えることができます。
こういった共起語を抽出することによって、もう一度自分のコンテンツを見直し、自身の中で、確かにこのコンテンツが重要だ、抜け漏れが発生してしまった、と思うのであれば加筆することができます。
そうすることで、より検索意図を満たせる、すなわち誰が読んでもすごくいいねと思ってもらえるコンテンツを作ることができます。これにより、結果的に順位を上げることができます。
共起語を入れることによって順位が上がるのではなく、共起語を活用して自分が忘れていた重要なテーマを洗いだして加筆をするという使い方をすれば、自ずと順位が上がります。
これが共起語の正しい使い方、正しい理解です。
まとめ
まず共起語とは「共に出現する、関連する言葉」だとご理解頂ければと思います。
そして「共起語を埋め込めば順位が上がる」というのは誤った理解です。正しい理解は「抜け漏れを探す」。これが共起語の正しい使い方です。
さらにツールを使っていただければ精度を上げることができますので、色々なSEOのツールを使って精度を上げ、工数を下げていきましょう。
順位を上げる、SEOに評価される事に対して一番重要なのは検索意図に答えることです。これがすべてですから共起語に惑わされないように、まずは検索意図に答えるコンテンツを一生懸命作ることが一番の近道になります。ぜひこの考えを改めて再認識していただければと思います。