「次の検索ニーズ」を発掘し、ページ満足度を上げる方法

最近のGoogle検索結果で目立つようになった「他の人はこちらも検索」という枠。

特にスマートフォンの検索結果では、自然検索2位と3位の間に表示される事が多く、ユーザーの検索誘導に影響していると想定されます。

 さらに、一部のデスクトップ版検索結果にも「他の人はこちらを検索」が表示され始めています。

デスクトップ版への表示は、一部のユーザーにテスト的に表示し反応を見る「ライブテスト」の段階にあるものの、「他の人はこちらも検索」枠は多くの検索結果で表示されつつあります。

なぜ、Googleは表示しているのか?その目的とは何か?他の検索機能との違いは何か?そして、ページ改善にどう役立てるか?私の考えを書いてみたいと思います。

再検索キーワードの目的とは何か

People Also Search For(他の人はこちらも検索)をここでは略して「再検索キーワード」と記述します。

この再検索キーワードをGoogleが 2位と3位の間 という極めて視認性が高い場所に表示している理由は、ユーザーの検索体験を補助をするためにあると考えます。

以前、ゼロクリックSERPが問題になった際、Googleが発表した「Google Search sends more traffic to the open web every year」に、PASFキーワードなどの検索機能に関して説明がなされていました。

People don’t always know how to word their queries when they begin searching. They might start with a broad search, like “sneakers” and, after reviewing results, realize that they actually wanted to find “black sneakers.”

Because this happens so frequently, we offer many features (like “related searches” links) to help people formulate their searches and get to the most helpful result, which is often on a website.

<日本語翻訳>
人は検索する際、どのようなキーワードで検索すればよいかわからないことがあります。例えば、「スニーカー」のような大まかな検索から始めて、検索結果を確認した後、本当は「黒のスニーカー」を探したかったことに気づくかもしれません。

このようなことが頻繁に起こるため、Googleでは「関連検索」などの検索機能を提供し、最も役立つ結果にたどり着けるようにしています。

検索ユーザーが本当に探している事やWebサイトにたどり着けるよう、関連検索の機能を通してユーザーを誘導しているとの事。

では、別の例に置き換えて、その検索行動を考えてみたいと思います。

とあるAさんは、リモートワークをするために急遽ウェブカメラが必要となりました。

本来探していたものは「Zoomで使えるウェブカメラ」であったものの、一番最初に検索したワードは「ウェブカメラ」というビッグワードでした。

「ウェブカメラ」で上位に出てくるページを見たものの、どのウェブカメラか自分に合っているのかイマイチ検討がつきません。そこで、誰かのオススメを探すべく「おすすめ」で再検索します。(検索結果に出てくるPASFキーワードのリンクをクリック)

さらに、検索を進めていくうちに思い出したのが「Zoomで使う」という事。したがって、「zoom ウェブカメラ おすすめ」で再検索します。

結果、ユーザーは自分の目的に合いそうなカメラを見つけ、購入に至った、という検索の流れが実際に起きていると考えられます。

以上のような検索の絞り込みを、わざわざ検索窓にユーザーが自らキーワードを入力せずとも、リンクをクリックし続ける事で自分が探している検索結果にたどり着くという流れが想定できます。

サジェストキーワードとの違い

検索機能のひとつに「サジェストキーワード」があります。(正しい名称は「オートコンプリート」)

SEOの人にとっては馴染み深いこのサジェストワードとPASFキーワード(もしくは関連キーワード)の違いとは何でしょうか。

あくまでも私なりの考えにはなりますが、両検索機能の違いは下記の通りになります:

  • サジェスト → キーワード決めの補助機能
  • PASF → 検索の絞り込みとしての補助機能

サジェストは、ユーザーが検索窓にキーワードを入力している最中に表示されるもので、ユーザーは提案されたキーワード案(サジェストワード)を見ながら、検索キーワードを決めます。

これに対し、PASFキーワードは検索結果を見ている最中に表示されるものであり、すでに検索キーワードは決まっている段階にあります。

表示された検索結果、特に1位と2位のページを見て、「なんか違うな」と思いかけたユーザーにGoogleが「こういうキーワードで再検索 / 深堀りしてみるのはどうですか?」と提案する役割にあると想定されます。


Googleの検索機能の助けを借りながら、ユーザーは本当に自分が探していた物にたどり着くことが出来ます。

最近では、この「他の人はこちらも検索枠」をデスクトップ版の検索結果にも表示し始めており、これら検索誘導(体験)を多くのユーザーに提供しようとGoogleは考えているのかもしれません。

再検索キーワードを使ってニーズを探す方法

では、PASFおよび関連検索(RS)キーワードを使って、ユーザーの次の検索ニーズを発見し、ページを改良していく流れを解説します。

まずはじめにPASF/RSキーワードを抽出し、Googleが認識している「次の検索ニーズ」を調査します。

調査方法は、

など複数の方法がありますが、今回は「PASF/RSキーワード」を使った方法を解説します。

PASF/RSキーワードにアクセスし、主軸キーワードを入力します。

主軸キーワードの「他の人はこちらも検索」および「関連検索」のキーワードが表示されます。

一覧では「他の人はこちらも検索」枠を緑色の「PASFキーワード」と、「関連検索」を紫色の「RSキーワード」として表示。

沢山表示される再検索キーワードから、ニーズの多いテーマを分析していく。今回はキーワード「マイカーローン」を分析してみました。

「出現数別キーワード一覧」をクリックすると、数多くある再検索キーワードの中から最も出現する単語が表示されます。

「マイカーローン」の再検索キーワードでよく出現するキーワードには

  • 金利
  • シミュレーション
  • 審査
  • おすすめ
  • ろうきん
  • 仮審査

などがあると分かります。

「金利」が掛け合わせ検索語句で多い事が分かったので、「金利」をクリックし、その検索意図や次の検索ニーズを分析します。

すると「安い」や「北海道(地域名)」「相場」などが表示されました。

どうやら「金利を安く押さえたい」「相場を知りたい」という検索ニーズがあるようです。

さらに各再検索キーワードをクリックすると、次の検索ニーズワード(PASF/RSキーワード)が表示されます。

一覧形式では分かりづらいので、再検索キーワードの一覧下部にある「関連マップで表示する」をクリックします。

すると、検索行動順に再検索キーワードがマップ形式で表示されます。

このマップを見ながら、『ユーザーが次知りたくなる事は何か?』を読み解いていきます。

例えば、「金利」→「安い」→「シミュレーション / 計算」が検索行動の流れにあるという事が分かりました。

ここから、「マイカーローン」というビッグワードを検索する人は、

  1. 車を買うためマイカーローンを検討し始めた
  2. すると、金利がローンによって違う事を知り
  3. さらに安いローンを知りたくなり
  4. 自分の収入を踏まえた返済プランを知りたくなる

というサーチジャーニーが生まれる、と解釈できます。

PASF/RSキーワードを使ったページ改善方法

それでは、これら再検索キーワード分析を踏まえた、ページ(コンテンツ)の改善方法を解説します。

■改善するページ(イメージ)

 「マイカーローンの選び方」を解説したページです。

SEOで重視される「検索意図」をしっかり汲み取り、コンテンツを設置したページではありますが、さらなる検索順位の向上とコンバージョン数の最大化を図るべく、PASF/RSキーワードを用いて改善していきます。

金利の計算方法を加筆する

PASFキーワードの分析から「マイカーローン」を検索する人は、次に「金利」と「計算方法」を知りたくなるという事がわかりました。

以上から、マイカーローンのコンテンツに「金利の計算方法」の解説を記載します。

 これにより、大雑把にマイカーローンを検討していたユーザーが、コンテンツを読み進めることで次に疑問になる「金利はどうなるんだろう」を同一ページ内で解決する事ができ、不用意な離脱やブラウザバック(検索結果に戻ってしまう)ことを防ぎます。

別ページへの内部リンクを設置する

すでにサイト内に「金利の計算方法」を解説する記事がある場合、そのページに対しての内部リンクを設置します。

コンテンツを読み進める過程で出てくる疑問を解消できる他ページへの案内をする「ナビゲーショナル・リンク」を設置する事で、ユーザーはサイト内を回遊し、自分の検索ニーズを解消していきます。

ストーリー性をもったページを作る

ただ単に、ページの上から下に無造作にコンテンツやリンクを設置するのではなく、ユーザーのニーズ変化に応じたコンテンツの設置が望ましいでしょう。

例えば、「マイカーローン」というキーワードで流入してきたユーザーの場合、ページを見た瞬間は「どんなローン?」というザックリとした疑問でページを見ていると考えられます。

しかし、コンテンツを読み進めることで、ユーザー自身も「マイカーローン」の理解が進み、新たな疑問が湧いてきます。

この「理解度が上がる事で出てくる新たな疑問」を、ページを上から下へスクロールすることで、次々に解決する「ストーリー」を作っていきます。

これにより、ページ内でユーザーの新たな悩みも連続して解決する事で、不用意な離脱を防ぎ、ユーザーのページ満足度向上を図ります。

競合ページの分析

再検索キーワードツールの「出現数が多いWebページ」をクリックすると、再検索キーワードで上位順位を獲得している競合ページが表示されます。

競合ページが再検索キーワードでどれくらい出現しているのか、「出現度」というパーセンテージで表示されます。

この出現度が高いほど、再検索キーワードでも上位表示しており、Googleからの評価も一定獲得していると判断できます。

各競合ページの [順位] をクリックすると、そのページが獲得している再検索キーワードと、実際の検索順位が表示されます。

多数の再検索キーワードを上位獲得している競合ページが存在する場合、どういうストーリーや見せ方をしているか、調査してみると良いでしょう。

最後に

今回は「他の人はこちらも検索」と「関連検索キーワード」から次のユーザー検索ニーズを解析する方法を紹介しました。

ただ単に検索意図を満たしたコンテンツだけではなく、ユーザーの検索の旅、言い換えるとサーチジャーニーまでも考えてページを作っていくのが望ましいでしょう。

その一つに、常に変化するユーザーニーズに沿ったアウトラインの設計や、それを解消する別ページへのナビゲーションリンクの配置、変化する意図に対して適切なコンテンツの見せ方などが挙げられるかと思います。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。